＊２＊スウォンの妹は四龍の敬慕【暁のヨナ】 (ページ7)

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第30話：サンサってどんな奴？＊ﾕﾝSIDE ページ7

ﾕﾝ「痛いよ!離せ!」

ｲﾙｷﾞ「……。」

ﾕﾝ「だから痛いから離せって!!」

ｲﾙｷﾞ「……。」

何で何も喋らないわけ…。

しかもどこまで連れてく気。

ｲﾙｷﾞ「……ここまで来れば平気だな。」

立ち止まるといきなりそう呟いた。

ﾕﾝ「は?」

ｲﾙｷﾞ「姫様は…来てないな、よし。」

後ろを向いて確認すると、その場にドカッと座った。

ﾕﾝ「で、俺に何か話しでも?めんどくさいから早くしてよね。」

ｲﾙｷﾞ「そんなつれない事言わねーで取りあえず座れ。」

そう言われ、俺はイルギの隣に座った。

ｲﾙｷﾞ「じゃー本題な。」

やっとか…。

ﾕﾝ「うん。」

ｲﾙｷﾞ「まず、サンサの事を姫様の前で口にするな。」

ﾕﾝ「え?もしかして…。ねえ、その事詳しく教えてよ。」

ｲﾙｷﾞ「……ああ、いいだろう。」

そう言ってイルギはぽつぽつと離し始めた。

ｲﾙｷﾞ「サンサは…さっきも言った通り、
　俺と姫様の幼馴染。そして姫様の従者だったんだ。
　そして、つい最近の夜…スウォン様がイル陛下を殺した。
　スウォン様はその事を姫様に隠し、自分が高華国の王になろうとした。
　サンサはそれを体を張って否定したんだ。」

ﾕﾝ「よく意味がわからないんだけど…。」

ｲﾙｷﾞ「……あんた、ほんとに天才なのか?
　サンサは、それが可哀想だって言ったんだ。
　姫様はスウォン様を心から愛しているのに、って。」

ﾕﾝ「ふーん、それで。」

ｲﾙｷﾞ「スウォン様は…自分の道を阻む者は誰であっても切り捨てる。
　そう言って…サンサの心臓を…。」

そんな…。

ｲﾙｷﾞ「それを俺も姫様も見ていた。
　俺と姫様は…サンサを見殺しにしたんだ。」

見殺し…。

でも心臓を刺されたんならしょうがない…。

ｲﾙｷﾞ「今姫様は心に深い傷を負っている。
　俺の前ではまだいい。だか姫様の前でサンサに関しては口にするな。」

ﾕﾝ「わかった。」

ｲﾙｷﾞ「…話はそれだけだ。」

イルギは立ち上がり、来た道を戻っていった。

サンサってどんな奴だったんだろう…。

……死んだ奴には会えないか。