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No side
一匹の管狐が、大きな襖の前で息を整える。何度も深呼吸しては耳を垂れて小さなその体を震わして、一向に入る気配が無い。が、意を決したか襖をそろりと開けた
襖の先＿＿＿大広間には、数多くの刀剣男士達が正座し、殺気を漂わせながら座っている。その様はまさに圧巻だった。だが、全ての男士が、服に血を滲ませ、泥だらけ。全員ボロボロのキズだらけだ
「こんのすけか。俺達をここに呼んだ理由は、粗方分かっている」
刀剣男士達の中でも一際美しい、瞳に三日月を宿す、天下五剣が一振り。三日月宗近が口を開いた
三日月「しかし審神者の姿が見当たらんな？」
口に袖を近づけ瞳をそぼめ、鋭い眼光でこんのすけを見つめる。逃しはしないと言うように
こんのすけ「えと、その審神者様からお手紙を.....」
三日月「ふむ.....読んでくれ」
こんのすけ「は、はい！えっと.....『刀剣男士の皆様初めまして。審神者の暁月と申します。今回、直接顔合わせ出来ない事をお許しください。私はあなた方が前任達にどのような仕打ちを受けたかは把握出来ておりません。私が不用意に皆様の傷を抉ってしまわぬよう、この様な形をとらせて頂きました』」
意外にもキチンとした内容の手紙である
こんのすけ「『後単純に死にたくありません』」
前言撤回
こんのすけ「『私は皆様に危害を加えるつもりは毛頭御座いません。しかし大事をとって、私は離れにて生活させて頂きます。本丸には必要以上に近寄りません。何か要望がありましたら、こんのすけにお申し付けください。最後に、勝手ながらささやかな贈り物を差し上げます』」
「贈り物」と言う単語に、男士達は警戒の意を強めた。そして
ビリィッ
こんのすけが札を取り出し、破いて発動させた瞬間、男士達はこんのすけに斬りかかった。しかし、突如眩い閃光が辺りを包み、刃がこんのすけに届く事は無かった
男士達が気を取り戻した時には既にこんのすけの姿は無く、それどころか、自分たちの身体の傷や染み込んだ瘴気が跡形もなく消え去っていた。
三日月「.....ふふふ、ははははははははは！！これは一本取られたな！」
三日月の高らかな笑い声が響き、他の刀剣達は終始頭に「？」を浮かべていた
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作者名：如月 | 作成日時：2023年1月1日 21時
