私のブラック本丸更生日記 (ページ39)

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前田「初めて見る物ばかりで楽しかったです！」

お菓子の沢山入ったレジ袋を抱え、嬉々と語る前田。なんと微笑ましい事か

『よかったね』

前田の頭をよしよしと撫でると、嬉しそうに目を細める。
すると、前方に見覚えのある影が

『あ、柘榴さん！長義さん！』

名前を呼んで手を振ると、二人はすぐにコチラに気づいて近づいてくる。
そして、柘榴さんの手には長い袋が二つ

柘榴「暁月！こっちにいたのか」

長義「おや、彼は...」

前田を見ると、私の後ろに半分隠れ、服を掴んで不安そうに覗いている

『前田、大丈夫だよ。この人達は柘榴さんと長義さん。私を審神者にスカウトしてくれて、今はウチの担当さんなんだ』

前田「ま、前田藤四郎です！」

長義「宜しくね」

柘榴「ちょうどお前達の所に行こうとしてたんだ。まさか伴付きで商店街に居たとは....随分と進展してんな！」

『ほとんど一期達のお陰だけどね。所で...その袋は...！！』

柘榴「ふっふっふ...お待ちかねだ！！」

『やったああああ！！』

思わず上に大きくガッツポーズをする

柘榴「もうここで渡しておくか。名前とかは本丸の方で説明するぞ。長いからな」

『分かった！行こう前だ....前田？』

振り返ると、前田の姿が忽然と消えている。足元には前田が持っていたレジ袋が

『前田？前田ー！！...おっかしいな...何処かに行っちゃった？』

なにか面白い物でも見つけて、そっちの方へ行ってしまったのだろうか

長義「いや、それはない。彼は主に忠実だ。なんの許しも無しに自分から側を離れるのは考えられない」

柘榴「まさか.....人攫いか！！」

『なっ！！』

人攫い
最近現れ、刀剣男士を攫っては闇市で高値で売り飛ばす外道。

『っ前田！！！』

柘榴「あっ、おい暁月！待て！！」

咄嗟に駆け出し、路地裏に入っていく。

『(こう言う奴らは人目を避ける為に路地裏に潜む事が多い。大きい声で名前を呼んだら人攫いに気づかれて逃げられる！！)』

路地裏は狭く、声が響く。一旦走るのをやめて、靴を脱いで靴下で走り出す。こうするだけでも足音が大分減る

『(前田....前田！！何処だ、一体何処に！！)』

そもそも何故気づかなかった？前田は私のすぐ側に居たはずだ。特殊な術....“認識阻害の札”か！ならば....

『暁月の諱を持ってここに命ずる。“前田藤四郎”の居場所を示せ』

懐からヒトガタを取り出して霊力を込める。するとヒトガタは浮き上がり、前田の居る方向へと飛んでいく