私のブラック本丸更生日記 (ページ38)

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「ですので、貴女を主と...主君と呼ばせて下さい！」

バッと腰を曲げて頭を下げる男の子。こんな子の頭を下げさせていると言う罪悪感が半端では無い、取り敢えず頭を上げさせる

『あ、頭を上げて。私を主と認めてくれるのは凄くありがたいよ。私は暁月。貴方は？』

「ハッ！先に自己紹介もせずにツラツラと...！無礼をお許し下さい！」

うん、せっかく上げさせたのにまた下げちゃったら意味ないじゃん？私そう言う礼儀とか知らないから気になんないよ？

「僕は前田藤四郎と申します。今後とも宜しくお願いいたします。主君」

”藤四郎“....粟田口か。つかさっき「いち兄」言ってたな。って一期一番審神者敵視してたの！？もし離れで会わなかったら.....ひっ

前田「所で、主君は一体何をしていたのですか？外出ですか？」

ヤッベ忘れてた

『これから買い出しに行くんだよ。よかったら前田君も来る？』

前田「前田とお呼び下さい。是非同行させて頂きます！」

ぱあっと嬉しそうに顔を綻ばせながら私の隣につく前田。弟みたいで可愛い〜！

ー商店街ー

前田「おお...！！主君見て下さい！こんなに沢山のお店が！」

『本当だ、凄い！』

審神者、男士用の商店街はかなり大きく、浮世絵の江戸街の様。沢山のお店の中でも、一際大きく目立っているのが万屋。お守りや遠征呼び出し鳩など、出陣遠征の上で役立つ物等、本丸の戦具はここで手に入る。だから大きい

『お守りを六つ買おうか』

前田「かしこまりました！」

初めての万屋で喜びを抑えられておらず、興味深々で辺りをキョロキョロと見回す前田。
当然ながら、周りには様々な審神者と、その近侍の男士で溢れかえっている。審神者への恐怖よりも好奇心が勝るのか....

『(お、食品も売ってるのか。今日は肉じゃがにする予定だから、糸蒟蒻とお肉も買っていこう)』

ふと、前の棚にお菓子コーナーがあるのを見つけて、前田を呼ぶ。

『前田、ちょっとおいで』

前田「なんでしょうか！」

『あそこのお菓子コーナーから、食べたい物持っておいで。兄弟の分もね』

前田「！分かりました！」

嬉しそうに目をキラキラとさせて陳列棚に駆けていく前田。その辺にいる無邪気な子供と遜色無い。
あの小さな身体で、酷い日常を送っていたのだと思うと前任への耐え難い怒りが沸いてくる。何故そんなにも惨い事が出来るのかと、滅多刺しにしたい。

けれど、意気揚々とお菓子を選ぶ前田を見ると、そんな考えは消え去っていく