私のブラック本丸更生日記 (ページ2)

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「ご家族が亡くなられました」

それはまさしく寝耳に水だった。
剣道の試合で勝って、皆んなでお祝いに外食しようと電話した、数時間後の出来事だった。

私が試合で勝ったと聞いて、珍しく妹も車に乗って迎えに来ようとしていたらしい。
でも、夜になっても来なくて、電話も繋がらなくて、呆然としていたら職員の人が話しかけてきた

職員「あの、天津風さんですか？」

『はい、そうですけど......』

職員「ご家族が、亡くなられたそうです」

『＿＿＿＿＿＿え、？』

頭が真っ白になった。見送りされる時、あんなにも元気だったのに、家を出る時、呑気にゲームしていたのに？
けれど同時に納得できてしまう程に冷静だった

病院の霊安室で妹と母さんの遺体を見て、糸が切れたように泣いた。
死因は事故。それも、身体が綺麗なのがおかしい程の。

踏切で待っている時、後ろから居眠り運転のトラックが突っ込んで、遮断桿ごと線路に乗り上げた。
しかも不幸な事に、すぐそこまで電車が来ていたせいで、逃げる間も無くそのまま轢かれた。

ニュースになってしまう程衝撃的な事件で、日々マスコミに追われ、不躾に傷を抉られて、事故のショックもあって私は家に籠った。部活の友達も、ポストに花束などの贈り物を入れていてくれた。
空っぽの家を見るたびに涙を流し、妹の好きなゲームをみてはしゃくり上げ、インスタントの食品を食べて母のご飯を思い出して号泣する。

これはいっそ夢だと現実逃避をして、自分の弱さに絶望して一週間後。

私はとうとう自’殺する事にした。

『(カッターと睡眠薬、どっちにしようかな)』

両手に一つずつ持ったそれをボーッと眺めていると、インターホンが鳴った。

『(またマスコミか)』

いい加減しつこいな。ああでも、この酷い顔を見たら流石に帰るでしょ

鏡なんて見てないけど、家族の夢を見てしまうから一週間ずっと寝てない。眠気は腕を切りつける事で何とか耐えてる。

扉を開けるとスーツを着た男の人が立っていた。
カメラもマイクもレコーダーも持っていない。その人は目を見開いて驚いていた。

？「ッ大丈夫ですか！？」

大丈夫です。そう建前で言おうとしたら、目の前が真っ暗になった。

限界か＿＿＿＿＿嫌だなあ、またあの幸せな夢を見てしまう＿＿＿＿＿＿＿＿