9話 ページ9
星導と隣並んで歩く。この間、なんと無言である。何を話そうって考えてる間にどんどん時間が経っていく。
こんなにドキドキしてるの、私だけなんだろうな。
そう思うとなんだか悔しくなってきて、ずっと下を向いていた顔を上げ、表参道のお洒落な街並みに視線を這わせた。適当なブランド店のショーウィンドウを眺めていると、ガラスに反射した星導が私を見ていることに気付く。
私はショーウィンドウから視線を変えないまま、否、変えられないまま星導に「なに？」と問いかけた。
星導「え？」
「いやなんか、こっち、見てるから」
星導「別に。可愛い格好してるなぁと思って」
「は？！」
顔に熱が集まるのを感じる。思わず星導の方をみると、本人は何を考えているのか難しい顔をしていた。
星導「今日、誰が来ると思ってた？」
「誰って…めるとの代わりだから、のぞみ？」
星導「石神先輩は今ごろ配信中だよ」
星導にそう言われてXを確認すると、確かに配信予告ポストが投稿されていた。全然観てなかった。
星導「倉持先輩、俺に連絡する前に小柳くんに連絡してたらしくって」
「小柳くん？！表参道に？！」
想像が出来なくて思わず笑ってしまう。めるとのセンスどうなってるんだ。私が爆笑しているのを見て、星導は何故か安堵の表情を浮かべた。
「なに、その顔？」
星導「いや？色々と杞憂だったなと」
星導の発言の意図が掴めず首を傾げると、星導は「気にしないで」と私の頭にポンと手を乗せた。
よくわからないけど、星導がご機嫌だからいいかな？
「これから行くところに小柳くんがいたらって想像したら星導も爆笑すると思うよ」
星導「どういう場所？」
「めっちゃファンシー」
星導「ファンシーかぁ」
クマさんだらけのアフタヌーンティーに小柳くんが参加しているところを想像すると、申し訳ないがどうにも絵面が面白すぎる。星導でさえギリギリなのに。
二期生で一番そういうところが似合う男子は誰だろう、とか、そんなこと考えても星導に話題として振れないのがもどかしい。
星導「A？」
「ん？」
星導「なんか、寂しそうな顔してた」
なんでそういうの気付くかな、こいつは。私は苦笑いを浮かべながら「ごめんごめん」と謝る。それでも心配そうな顔をして私を覗き込む星導に、ちょっとだけときめいてしまった。
「るべは優しいね」
星導「別に、誰にでもじゃないよ」
星導の言葉にまた少し、顔が赤くなるのを感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 681人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よもぎもち(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます！彼を推してる方に好きって言って貰えてめちゃくちゃ嬉しいです！今後も頑張りますね！ (12月26日 0時) (
レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 小悪魔時代の推しもタコの推しも狼くんも全員まとめて摂取できるのありがたいです…💕全部かわいくて日々の癒しになってます！更新も大変だとは思いますが、応援させて頂きます✨✨すきです (12月26日 0時) (レス) @page12 id: 93744aa2ce (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - asutaronpo_0822さん» ありがとうございます！デビュー前の話をするのは賛否あるかな…と思ってたので、好きと言ってもらえて嬉しいです！ (12月19日 9時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - 緋彩さん» Twitterで予告していたのですが、ついに書き始めました…！待っててくださりありがとうございます！頑張りますね！！ (12月12日 15時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - わ、ついに！きましたかこれ！！ありがとうございます！待ってました！頑張ってくださいね (12月12日 13時) (レス) @page5 id: 52cf1f8b28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よもぎもち | 作成日時：2023年12月11日 20時
