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応援できない本心 ページ7

今日、大切な友人の卒業が発表された。

葛葉「いい加減泣き止めよ」

「だって、大好きだったんだもん」

両目から大粒の涙が流れていく。彼女がいなくなるわけじゃない。ありがたいことに、アーカイブも残してくれるみたいだし。会えなくなるわけでもないし、連絡が取れなくなるわけでもない。

だけど、私は彼女を尊敬していた。彼女の声が、ダンスが、世界を魅了していく。その姿がもう、今後のライブやイベントでは観られなくなってしまうのだ。いちファンとしてとても寂しいし、悲しい。

だけど笑って送り出さなきゃ。

「今だけは甘やかして」

葛葉「いつでも甘やかしてやってんだろ」

葛葉に抱きつくと、背中をさすってくれた。私達はそれなりに歴が長い。こうやって見送ることは、何度もあった。それでも慣れることはない。

「あの子が辞めちゃうなんて、全然考えてもみなかった」

葛葉は黙って私の髪を鋤く。その手が妙に優しくて、凄く安心する。

「でも他に輝ける場を見付けたんなら、応援してあげなくちゃいけないんだろうなぁ」

葛葉「無理に応援しなくてもいいだろ」

意外な発言に顔を上げると、葛葉はどこか大人びた顔で微笑んだ。

葛葉「悲しんだって、駄々こねたっていいんだよ。ワガママくらい言え。黛が辞めるときのふわぐさなんか凄かったぞ」

「でも…」

葛葉「ただそれを伝えて、それでも相手の意思が変わらないってわかったら、観念して応援してやれ。そこまで言って駄目なら諦めもつくだろ」

確かにそこまですれば納得はすると思う。

「…でも困らせるのは嫌だなぁ。」

葛葉「これでただのリスナーなら駄目だけど、お前は友達なんだから、存分に困らせてやれ」

そう言って葛葉は私の目蓋にキスを落とす。葛葉は私に甘い。きっと私が本当に困らせて喧嘩になったら、慰めてくれるんだろう。でもそうならないのもわかってそうだな。こうやって言うのも、応援できない私の罪悪感を軽くするため。

「葛葉は全部見透かしてるね」

葛葉「当たり前だろ。どんだけ見てると思ってんだよ」

ドヤ顔する葛葉がおかしくて笑うと、「ようやく笑ったな」と優しく頬を撫でられた。

ーーーーーーーーーーーーー
推しが卒業発表しました。
しばらく落ち込むと思いますが、
私は友達じゃなくてリスナーなので、
困らせずに、最後は笑顔で送り出そうと思います。

推しの心オタク知らず→←オタクの荷物



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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!大変モチベーションになります!!続きも頑張りますね! (2月12日 18時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年11月13日 19時

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