オタクの荷物 ページ6
お気に入りの化粧をして、最近買ったばかりのワンピースで身を包み、髪も丁寧にアイロンをかけてから結い、貰ったばかりのペンダントをつける。
今日は葛葉と久々のお出掛け。出不精の葛葉が外に出るのは珍しいため、私はこの日を楽しみにしていた。
…のだけど。
「くーちゃんやい。なんで御機嫌ななめなの？」
葛葉「…お前、アレ持ってくの？」
鞄の側には唯華のパペットとぬい。どの子を連れていくか迷って広げたままだった。
「なるほど。ヤキモチだ」
葛葉「ヤキモチっていうか呆れてるんだよ！」
まずい。このまま葛葉の機嫌を損ねてお出掛け自体がナシになるなんて嫌だ。唯華を持ち歩かないのも嫌だ。困った。
「じゃあアクスタにする！それなら写真撮るときにパッと出してパッと仕舞えるから恥ずかしくないよ？」
葛葉「そういう問題じゃ…はぁ」
葛葉は溜め息を吐いて脱力し、「やめだ、やめ！」とソファに座り込んでしまった。
「えっ！やだやだ！お出掛けする！」
葛葉「俺は椎名抜きじゃないと行かない」
「うぅ〜〜〜〜っ！！」
私は葛葉の目の前に立つと、スカートを掴んでワンピースを強調して見せる。
「このワンピース！今日のために買ったの！髪型だってインスタで勉強して…全部ちゃんと葛葉のためだよ！」
葛葉「うんうん。で？」
「葛葉とのお出掛け楽しみにしてたの…」
葛葉「だから？」
「うぅ〜〜〜〜」
唇を噛み締めながら駄々をこねる。わかっている、こうなった葛葉は絶対に折れない。私の方も維持になって喧嘩に突入しても良いのだが、多分唯華に相談してもりりむちゃんに相談しても「Aが悪い」と言われ、どっちみち謝る羽目になるのは目に見えている。
ここは折れるしかないか。
「唯華は置いてくから、葛葉とお出掛けしたいです」
絞り出すように言うと、葛葉は無言で私に手招きをした。首を傾げながら近付くと、腕を思い切り引かれ葛葉の上に股がるような姿勢になる。
「なに、葛葉…んっ」
急に後頭部を掴まれたと思えば、噛みつくようなキスをされる。頭がぽやぽやして、葛葉のことで頭がいっぱいになる。
葛葉「別に俺は家でのんびりでもよかったんだけど」
「私が嫌」
葛葉「今度本物の椎名と行けばいいじゃん」
「葛葉とがいいの」
そう言うと彼はようやく満足げに笑い、「んじゃ行きますか」と私を解放して自身も立ち上がった。
ようやく、楽しい休日が始まる。
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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます！大変モチベーションになります！！続きも頑張りますね！ (2月12日 18時) (
レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話！！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よもぎもち | 作成日時：2023年11月13日 19時
