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かつての私 ページ44

かつて私は、もっとコラボに積極的だった。剣持、チャイカさん、緑仙、ゲーマーズといった初期からいる先輩達だったり、同期だったり。

ずっと人と関わるのを恐れていた私を、唯華が広い世界に連れ出してくれた。VTuberは人間以外もたくさんいて、私の体質を気にしない人ばかりだった。

だから、勘違いしてしまったのだ。
自分はもう大丈夫なのだと。

気付いていなかったのだ。どんなに広い世界でも、「唯華を通じて知った世界」でしかないことに。私は唯華がいないと普通に生きていくことなんてできないのだと、改めて実感させられた。

事件が起きたのは、私がTRPGにハマり箱外の人とコラボするようになったとき。つまり、「唯華を通じていない人間関係」を築きはじめたとき。

リスナーもコラボ相手も皆喜んでくれていたし、優しくしてくれた。なにも問題はないはずだった。私が配信で「人間関係を広げたい」と明言するまでは。

それを機に、全く知らない人達からコラボの招待がくるようになった。あまり登録者数で人を図るようなことをしたくないけれど、1000人にも満たない人達とかから。しつこいくらいのDMが毎日のようにきた。

私とコラボするために借金して配信機材を用意してデビューに至ったという人まで現れた。

夜中には「なんでコラボしてくれないの?」と生き霊達がざわめき出す。眠れない日々が続いた。

私が「返信しきれなくてごめんなさい」と謝罪を入れたうえで当面DMを閉鎖する措置をとると、事務所に問い合わせが入ったり、待ち伏せされたりした。

ノイローゼになった私は、箱外コラボを完全にやめた。

あとから聞いた話だが、私とコラボをしていた箱外の人達宛に「お前だけズルい」といったアンチコメントが大量に届いていたらしい。

このことは公言していないが、事が大きすぎてリスナー達にも把握されていた。

誰も彼も、私のことを好きだなんだと嘘ばっかり。
ただ執着しているだけじゃないか。
私を好きなら私の大切な友人にそんなことしないもの。

この体質のせいで、唯華に多大な迷惑をかけているのに。
この体質のせいで、唯華から離れることを許されない。

私は一生唯華の側で、唯華への罪悪感を抱えたまま、唯華だけに愛を注いで生きていくのだろう。

貴方に出会うまで、そう思っていた。

ねぇ、葛葉。貴方は私のヒーローなんだよ。



配信画面を開き、深呼吸をする。
あのとき止めた時を、やめたコラボを、再び動かすんだ。

駆け引き→←適度な距離



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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!大変モチベーションになります!!続きも頑張りますね! (2月12日 18時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年11月13日 19時

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