朝のぬくもり ページ37
にじフェスも近付いてきて、本格的に忙しくなってきた。そんななか、こうして葛葉と過ごせる時間はかなり貴重だ。
やたら広いベッドのなかで、葛葉にくっついて目を覚ます。彼が隣にいるという事実が嬉しくなって、その胸にすり寄って再び眠りにつこうとした。
葛葉「んん…」
「ごめん、起こした？」
葛葉「んぅ…」
どうやらまだ寝惚けているらしい。私を抱き締める力を強めて身動きを取れなくしたと思えば、また規則的な寝息をたて始めた。
ときどき思う。この人はなんで、こんなに私を好きでいてくれるんだろう。私の体質の影響も受けてないのに、いつも全身全霊で愛を伝えてくれる。
不思議な人。
私は誰かを好きになるなんて(唯華を除いたら)初めてだったから、葛葉がどんな理由でも私を好きでいる内は手放すつもりなんてないけど。それでもやっぱり理由が気になるのが乙女心というやつで。
そんなことを考えていると、スマホのアラームが鳴る。
二度寝するにしてもアラームを止めなくちゃ、と思い葛葉の腕からなんとか抜けようとするのだが、だいぶしっかり抱き締められていて動けない。
「葛葉、ちょっとだけスマホとらせて」
葛葉「ゃだ…」
耳元でかすれた声を出されて、くすぐったさに変な声が出そうになる。というか、寝ぼけてるくせに力強いな。
「葛葉ってば！アラーム止めなきゃだから！」
葛葉「とめるだけ？」
「止めるだけ！」
葛葉「椎名の動画とかみない？」
「み………みない…」
自信なさげに答えると、葛葉はようやく腕の力を弱めてくれた。アラームを止めて振り替えると、葛葉が両腕を広げて待っている。
「起きてるんじゃん」
葛葉「今起きた」
葛葉の両腕の間に入り込むと、またぎゅっと力強く抱き締められる。身動きがとれない中で頑張って両腕を動かし葛葉を抱き締め返した。
葛葉「腕ほっそ。力よっわ」
「そんなことないもん。えいっ」
葛葉を抱き締める腕に力を入れる。葛葉細いから折れちゃうんじゃないかと若干ヒヤヒヤしたが、こうして抱き締めるとやっぱり男の人なんだなぁと感じる。
葛葉「それで全力？雑魚だね〜」
「これ以上やったら葛葉、折れちゃうもん」
葛葉「お気遣いどーも」
葛葉は私の髪を2、3回鋤くと、つむじのあたりに顔を埋めた。
葛葉「うちのシャンプーの匂いする」
「ちょっと、あんまり嗅がないで。恥ずかしい」
こんななんでもない時間が、ひたすらに愛おしかった。
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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます！大変モチベーションになります！！続きも頑張りますね！ (2月12日 18時) (
レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話！！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よもぎもち | 作成日時：2023年11月13日 19時
