コラボ温泉 ページ4
短編からの再掲です。
--------------------------
最近、葛葉の噛み癖がひどい。
まず、私がテレビをみたりゲームをしたりしていると耳を噛んでくる。じゃれ合っているときに顔を撫でたりすると、指を噛んでくる。夜ベッドで…これはいいや。割愛。
痛いという程でもないけれど、吸血鬼である彼の牙は人間のそれより数段鋭く、気がつけば全身噛み跡だらけになってしまった。
「これじゃあ銭湯いけないじゃん！」
葛葉「あ？なんで銭湯？」
「極楽湯！にじさんじコラボ！」
葛葉「あぁ…俺もお前も参加してないし、いいだろ」
「唯華がいるの！」
私がそういうと葛葉は顔をしかめた。私の大親友であり推しでもある、可愛い可愛い椎名唯華。彼女のおかげで私たちは知り合ったので、いくら嫉妬深い葛葉でも強く出られないのだ。
「どうすんのさ！さくゆいの湯、もう来週なのに！」
葛葉「フードだけ食えりゃいいだろ」
「いーやーだー！！唯華の香りの湯！！」
葛葉「別に椎名の匂いじゃねぇから」
困った。正直ヲタ活してるときは恥もへったくれもないので葛葉が一言「ごめん」といって暫く噛み癖を控えてくれれば気にせず行くつもりだったのだが、この男、全く反省をしていない。
大体、身バレ防止+ナンパ避けにと葛葉から過保護に防止やら眼鏡やらマスクやらつけるよう言い付けられているというのに、噛み跡隠しにまで気を回したら全身隠しの不審者だ。これじゃまともに外にも出られない。
ん？それが狙いか？
葛葉はスマホを弄り、こちらに目もくれない。なんとなくそれが居心地悪くなって、葛葉の隣に隙間を開けずピッタリくっついて座る。
「葛葉、もしかして不安にさせちゃってる？」
葛葉「いや別に、そんなことはないけど」
モゴモゴと言いながら、葛葉は視線を逸らした。
葛葉「銭湯とかプールとかは、あんま行ってほしくない」
「うん」
葛葉「いま調べたら、池袋の店舗は風呂ないらしいし、それなら一緒に行ってやらなくもない」
「うん、一緒にいこ？」
顔を逸らしたままの葛葉の頬をつつくと、勢い良く指を掴まれる。しまった、と思えばそのまま指に噛み付かれた。
結構しっかり噛み付くので僅かに血が滲むが、それすら彼の機嫌をよくする材料になる。
このでっかいワンコの噛み癖は、当面直らなさそうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 909人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます！大変モチベーションになります！！続きも頑張りますね！ (2月12日 18時) (
レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話！！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください！ (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よもぎもち | 作成日時：2023年11月13日 19時
