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見つからない解毒方法 ページ30

白雪さんが手に取ったのは、葛葉に貰った婚約指輪。婚約をまだ伏せている状況下のため、指に着けずにネックレスにして服のなかにしまっていたのだが、先ほど至近距離で腕を捕まれたときに気付かれたらしい。

突然のことで言葉が詰まる。
ここで嘘をつけば、いずれ公表したときに不信感を与えてしまう。かといって本当のことを言うわけにはいかない。

白雪「とても高価そうだけど、どなたか男性から?」

不破「えっ…嘘やろ」

不破さんが青ざめている。まずい、これは本当にまずい。いらぬ憶測をよびたくない。

思考がグルグルと高速回転する。気が付くと私は涙ぐんでいて、視界がぼやけて目に熱が溜まっていく。

その様子をみて、今度は白雪さんが青ざめた。

白雪「ごめんごめんごめん!ごめんなさい!Aちゃんを責めたいわけじゃないのよ!ただ、どこの馬の骨かなって心配になっただけなの!」

グウェル「わー白雪殿が皆子殿泣かしたー」

不破「巴さん何しとんねん!」

白雪「なによ!湊ちゃんだって動揺してたじゃない!」

白雪さんがそう言うと、不破さんは「にゃは」と笑ったあと私の方に向き直った。

不破「今Aちゃんが誰かと付き合ってても、まぁショックやけど仕方ないかなって。俺とまだ出会ってなかったわけやし」

そう言って不破さんは私の前に跪き、王子様のように私の左手を取る。

不破「これから本気で口説いてくから、よろしく」

白雪「はぁ?!ちょっと調子乗らないでくれる?!私だって本気出すから、Aちゃん、良い子で待っててね」

「あの、私これから用事があって…」

グウェル「あぁどうぞ、この二人のことは無視して行っちゃってください」

グウェルさんにだけ会釈し、その場から走り去る。最近は本当に人と会わないように細心の注意を払っていたから、この感じ久しぶりだ。

不破さんは楽器コラボにも挙手してくれてたんだけどな。

「前途多難だなぁ…」

廊下を小走りで駆け抜けながら、思わず溢す。

ああいう好意は、本物じゃない。
ただ熱に浮かされてるようなものだ。

本物は葛葉だけ。
葛葉からの愛があればそれでいい。

でも出来れば、ああいう人達ともなんとか乗り越えて普通の友達になれたらな。なんて思う。

「…唯華ともまた話し合わなくちゃ」

私は会議室の前に到着すると小さく深呼吸をし、息を整えて打ち合わせへと赴いた。

私の体質→←魅了中毒者



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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!大変モチベーションになります!!続きも頑張りますね! (2月12日 18時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年11月13日 19時

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