これからのこと ページ28
ーーーーーーーーーーーーーside 葛葉ーーーーーーーーーーーーー
本間「葛葉、帰るん?」
葛葉「おー。お疲れ」
笹木「おつかれー!Aによろしく!」
ニヤニヤしながら送り出してくる女子共にげんなりしながらエレベーターに向かうと、帰る支度を済ませた椎名が駆け寄ってくる。
椎名「ちょぉっとだけ話があるんやけど」
葛葉「なに、説教?」
椎名「まぁそんなもん。タクシーまで一緒いこ」
エレベーターに乗り込み、扉が閉まると椎名がこちらに目も向けず話し始めた。
椎名「葛葉さぁ。吸血鬼の力で霊って祓えるん?」
葛葉「祓えなくはない…のか?やったことないからわかんないけど」
椎名「…Aが人にやたら好かれる理由、教えたげるわ。あいつ霊媒体質でしょ?その体質の有効範囲って、死人にだけじゃないんよ」
椎名の言ってる意味も意図もわからず、そちらに視線を向けるも椎名はこちらを見向きもしない。エレベーターが地上につくと、椎名は俺を待つことなく先に降りるので黙ってついていく。
椎名「つまりAは強い思念…生き霊も引き寄せちゃうわけよ。生きてる人間も死んだ人間も皆がAに惹かれて、引き寄せられてくの」
葛葉「要するになんだ?あいつに惹かれてる"人間"は皆、生き霊候補ってことか?」
俺がそう言うと、椎名はようやく俺の方を見た。ゾッとするほど真剣な目付きで。
椎名「あたしが葛葉とAの交際を許容したのは、葛葉が地位の高い吸血鬼だったから。そんな簡単にAの体質に負けるわけないと思ったから」
椎名の纏う空気は、怒りとも悲しみとも言えない複雑なものだった。
椎名「あたしもA自身も、Aに向けられた好意を、基本的に信用できないんよ。それは大半がAの体質に引き寄せられただけの、偽物の感情だから」
「でも」と椎名が付け加える。
椎名「Aは葛葉を信じて、変わろうとし始めてる。初めてあたし抜きで人間関係を築こうとしてる。葛葉と対等になるために」
椎名は自身のスカートの裾を握ると、一度目をふせ、意を決したように真っ直ぐ俺を見つめた。
椎名「だから葛葉、おねがい」
スカートの裾はもうグシャグシャで、それは椎名の心を表してるようだった。
椎名「Aを守ってあげて」
おかしいとは思っていた。誰ともコラボせず引きこもってるAに、問答無用で皆が惹かれる姿に。
葛葉「わかった」
俺がそう言うと、椎名はスカートから手を離し笑った。
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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!大変モチベーションになります!!続きも頑張りますね! (2月12日 18時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年11月13日 19時