大好物はいちご大福【zh】

御披露目 ページ23

葛葉に連れられてタクシーに乗る。どうやら今日はゲーマーズライブのリハらしく、かつ丁度これからの時間帯はゲストは剣持しか来ていないらしい。つまり、私と葛葉の関係を知ってる人しかいないのだ。

これを機にゲーマーズの皆には婚約の話をしておこうという話になったのである。

スタジオにつくと、運営スタッフさんがワラワラといて私は萎縮してしまう。が、葛葉が「大丈夫だから」と左手を握ってくれたおかげで、少し落ち着いた。そうか、運営さん達はもう婚約のこと知ってるんだもんね。

本間「ちょっと葛葉！急に行方眩まして、どこいってたん？！」

りりむ「あっ！Aー！」

笹木「おい手繋ぎ出勤かよぉ！リア充め！」

葛葉「あー…悪いんだけど皆ちょっとだけいいか」

葛葉の真剣な空気に、茶化していた面々が途端に静かになった。叶くんは知っているのかニコニコ笑顔で、何故か膨れている唯華の頬をつついている。

葛葉は握ったままだった私の左手を持ち直し、皆に見えるように掲げる。

葛葉「婚約しました！以上！質問は受付ません！」

げまじょ「「「「えーーーーーーー？！」」」」

剣持「うわぁ！！最悪のタイミングで飛んでもないことしやがった！！」

唯華以外の女子が私を取り囲む。剣持はなにやら頭を抱えていたが、最悪のタイミングってなんだろう。

赤羽「A、おめでとうー！！」

りりむ「えー！指輪みしてみして！！」

笹木「うわっ！これルビー？！なんぼ？！」

本間「式はどこで挙げるん？魔界？」

「いやまだ婚約だけで具体的な結婚とかは…」

かしまし乙女に取り囲まれて質問責めに遭う。唯華に助けを求めようと視線を送るも、叶くんの後ろに隠れてしまってこちらを見ようともしない。

「唯華…？」

なんとか輪から抜けて近付くと、叶くんが「ほら、しぃしぃ。Aちゃんが心配してるよ」と声をかけた。が、唯華はそっぽを向いたままだ。

「唯華、私なんかしちゃった？」

椎名「…問題です。テレーン」

唯華のローテンションかつ突然のクイズに首を傾げる。

椎名「Aのことを一番に想ってて、Aにとっても一番なのは誰？」

「唯華だよ。ずっと、絶対に唯華だよ」

唯華はようやく叶くんの後ろから出てくると、私を押し倒す勢いで抱き付いてきた。

剣持「しぃみな…良い百合だ…」

葛葉「いや勘弁してくれ」

こうして私達の第一回婚約発表が完了した。

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