お話し合い ページ19
会議室Bに辿り着き、私は一度深呼吸をする。葛葉のマネージャーさんとはすれ違う程度でしか会ったことがない。挙動不審になりながらも挨拶だけはちゃんとした記憶があるが、顔すら覚えていないのが正直なところだ。
意を決してノックをすると、返事より先に扉が開いた。
マネ「本当にいらっしゃった…」
マネージャーさんは口をあんぐりと開けて呆然としている。
「あ、あの、こんにちは!皆子…いや、AAです」
マネ「こんにちは。どうぞ、お入りください」
マネージャーさんに誘われ中に入ると、葛葉が呑気に「よっ!」と手を上げた。私はそれに返答する余裕もなく、ギクシャクした足取りで葛葉の隣に座る。
マネ「さて。Aさんにご確認したいのですが…婚約公表の件、葛葉さんの暴走ではなくAさんも同意してのことで間違いないですか?」
「えっ、あ、はい。言い出したのは確かに葛葉ですけど、私も年末に向けて葛葉と離れる時間が増えて、不安もあったので…」
葛葉「は?なに?お前、俺が浮気すると思ってたの?」
「葛葉の心配はしてなくて、葛葉に惚れちゃう人がいるかもって話。だって葛葉かっこいいもん」
我ながら恥ずかしげもスラスラ言葉が出る。唯華への愛を叫び過ぎて、こういうのに慣れてしまっている節があるな。
葛葉は「あぁ、そう」とだけ返すと真っ赤になった顔を反らした。耳まで赤いから丸見えだよ。
マネ「それはそれは…御馳走様です」
マネージャーさんは苦笑いを浮かべる。しまった、惚気に聞こえたかな。
マネ「ちなみに椎名さんはこの件ご存知ですか?」
「唯華ですか?はい、真っ先に伝えました」
マネ「椎名さんはなんて?」
「婚約については、おめでとうって。公表はちょっと渋ってましたけど、現状を考えたらその方がいいのかもって言ってました」
マネージャーさんは口元に手を当てながら「椎名さんがそういうなら、その方がいいのか…?」と溢す。唯華の判断ってそんなに大きいのだろうか。さすが唯華。
マネ「…わかりました。その前に一度、運営側で相談させてください。他ライバーの士気に関わるので」
「他ライバーの?」
私が首を傾げる横で、葛葉は「オナシャス」と頭を下げた。一体どういう意味なんだろう。
マネ「人見知りなAさんが、私と話に来るぐらい本気ってことですもんね。いちファンとして、お二人のことを応援させてください」
「…!はい!お願いします!」
私は立ち上がり頭を下げた。
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よもぎもち(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!大変モチベーションになります!!続きも頑張りますね! (2月12日 18時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
めめ - めっちゃ好きですこの話!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2月12日 17時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年11月13日 19時