正直者と嘘つき ページ10
「ふ、不破くん？」
頭を抱えながら項垂れる不破くんに動揺しながら声をかける。不破くんはしばらく「あー」とか「んー」とか唸ると、パッと顔を上げて微笑んだ。
不破「ズハには勝てんし、揉めたくないし。いやでもやっぱAちゃん好きやし。気持ちの整理むじぃわ、まじで」
優しい顔をする不破くんの優しさに、ようやく気付く。頑張って言葉を選びながら、怯えた私の緊張を解そうとしてくれているんだ。
「…不破くん」
不破「ん？」
「好きになってくれて、ありがとう。気持ちに応えられなくてごめんなさい」
不破くんに向かって頭を下げる。思えば、誰かをフッたのは初めてかもしれない。今まで私は自分に対する好意を偽りのものだと思って、相手にしてこなかった。だから、好意に対してこんな風に真正面から返事をするのは、葛葉にしかしたことがなかった。
だけど、不破くんにはちゃんと答えたいと思った。私はいつの間にか、思った以上にこの人を好きになっていた。
「もし、もしも。不破くんが嫌じゃなければ、私と、ちゃんと友達になってくれませんか」
顔を上げられないまま、不破くんにとても自分勝手なお願いをする。不破くんは、好い人だから、好い人が故に嘘つきだから、きっと何も言わなくても友達になってくれただろう。でも彼の気持ちも優しさも、なあなあにしたくなかった。
不破「Aちゃんは、正直者やね」
「そんでもって残酷」と、少し突き放すような冷めた声色で言葉を降らす。そうなの。私は本当は嫌なやつなの。嫌なやつだから、上手な嘘が吐けないの。
本当は、あなたに好かれるような女じゃないの。
不破くんの足音が数歩分響いて、見つめていた床に不破くんの靴が映る。目の前に立った彼は、私の視界に入り込むようにしゃがみこんで、上目遣いに私を覗き込んでくる。
不破「俺さ、そういう悪い子なAちゃんも好き」
不破くんはニパッと悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
不破「俺まだ気持ちの整理ついてないから、もしかしたらAちゃん困らせちゃう時もあるかもしれんけど、それでも友達になってくれる？」
「不破くんが嫌じゃなければ…」
不破「ん。俺も、Aちゃんが嫌じゃなければ。お友達になってください」
不破くんの言葉に、視界が滲むのを感じる。
あなたの優しさに答えられる人間になりたい。
いつかあなたの魔法が解けて、私への恋心が冷めたとき、それでも一緒にいてもらえる私になれるよう頑張るから。
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よもぎもち(プロフ) - うたねのどあさん» ありがとうございます！夢主を気に入ってくださって嬉しいです…！ご期待に沿えるよう、更新がんばりますね！ (3月3日 23時) (
レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
うたねのどあ(プロフ) - とても好みな作品です…！！夢主の性格や心情などの設定も好みですし物語の展開もとても気になります！！更新頑張ってください！！応援してますね！！ (3月3日 23時) (レス) @page17 id: d12e45b1fd (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - あめさん» ありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！モチベーションになります！！ (2月29日 21時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
あめ - この作品めっちゃ好きです！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2月29日 20時) (レス) id: a85ab24ed5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よもぎもち | 作成日時：2024年2月15日 21時
