哀れみはいらない ページ36
帰りの道中、頭のなかを色んなことが駆け巡る。叶先輩が喧嘩の場に現れるの初めて見たな、とか。叶先輩もヤンキーなのかな、とか。なんで剣持さん来たんだろう、とか。緑が中学時代に従えてたって噂になってた歳上のヤンキーってハヤトさんと夢追さんのことだったのかな、とか。
灰くん、怒ってるかなぁ、とか。
そんなことを考えていたら、急に頭が痛くなってきて、疲労がドッと襲ってきて、自然と目を閉じていた。
不破「…Aちゃん?Aちゃん!」
緑仙「すごい汗…A、起きて!」
甲斐田「アニキ、今からでも病院いきましょう!」
皆の騒ぐ声が遠く聞こえる。
私は大丈夫だから、お願い。早くおうちに帰らせて。
「いつになったら、おうちに帰れるの?」
何も知らない幼い私が、職員さんを困らせている。
これは夢だ。まだ小学生にも満たない頃の、遠い思い出。自分が捨てられたなんて微塵も思っていない愚かな私を、遠くから灰くんが哀れむような目でみていた。
「お母さんは、いつ、おむかえにくるの?」
来ないよ。あの人は私を捨てて、男と逃げたんだから。
辞めていく職員さん。大人になって出ていく「姉兄」。里親に引き取られていく「弟妹」。皆いずれは私の側を離れていく。
灰くんだけは、私を見捨てたりしない。灰くんだけは、側にいてくれる。灰くんだけは、ずっと「家族」でいてくれる。
大好きな灰くん。
これからはちゃんと良い子にするから。
だから、お願い。
そんな目で私を見ないで。
目が覚めると、病院のベッドにいた。
右手に違和感を感じて視線をやると、ベッドに頭を預けて眠る灰くんが、私の手を握っている。その隣には、不破先輩と明那が同じく頭をベッドに乗せて眠っていた。三つ並んだカラフルな頭をみて「団子三兄弟みたい…」と呟くと、ベッドを仕切るカーテンの向こうから「フッ」と吹き出すような笑い声がする。
甲斐田「目が覚めたみたいでよかった、おはよう」
カーテンを開けたのは甲斐田さんだった。甲斐田さんの背後から飲み物を持った緑がピョコンッと顔を覗かせる。
甲斐田「先生呼んでくる。緑くん、彼女のこと見ててあげて」
緑仙「はーい」
そういって甲斐田さんを見送ると、緑は当然のように布団に入り込んできた。シングルだから狭いよ緑。
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ライブの同時視聴で甲斐田が「緑くん」って呼んでて興奮しました。
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よもぎもち(プロフ) - の〜さん(旧もこ)さん» コメントありがとうございます!恋愛に発展するように頑張ってみますね! (11月11日 11時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - コメント失礼します。私2j3jの人達全員推しなのと愛され大好物なので嬉しいです!出来たら全員に恋愛的に愛されたいです。無理ならすみません。更新頑張ってください!楽しみにしてます! (11月11日 10時) (レス) @page2 id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - きささん» リクエストありがとうございます!fwさんですね、かしこまりました! (7月17日 21時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
きさ - よもぎもちさん» 返信ありがとうございます。リクエストなんですけど、fwさんとの絡みがみたいです‼ (7月17日 21時) (レス) @page23 id: 9659c34de0 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎもち(プロフ) - きささん» コメントありがとうございます!!めちゃくちゃモチベになります!!楽しんでもらえるよう、頑張って続き書きますね! (7月17日 11時) (レス) id: c260269ddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎもち | 作成日時:2023年7月12日 15時