優等生でいさせて！

交友関係の見直し ページ30

モヤモヤした気持ちを引きずったまま、「家」へと足を運ぶ。不破先輩の言いたいことはわかる。私はそこまで鈍感でも馬鹿でもない。かといって、そこまで自惚れることもできないのだ。もしかしたら、なんて思いながらも、そんなわけない、という気持ちが思考を押し戻すのだ。

すっかり暗くなった通学路を一人歩く。

明日からまた連休だ。遊び盛りの「弟」や「妹」を世話しないとだから、気持ちを入れ替えなきゃ。そう思っていると、地面に不自然な影が射した。

緑の言葉を思い出す。
最近の私の悪い癖。

考え事をしているとき、目線が下がる。

それで何度も背後を取られてきたじゃないか。

気付いたときには頭に強い衝撃を受け、体ごと地面に叩きつけられた。垂れてきた血が目蓋にかかって視界が悪いし、頭がくらくらする。辛うじて開いた目でパイプを視認する。不意打ち喰らって、こっちは丸腰。こりゃ下手な反撃せず受け身に全力注いだ方がいいな。

男1「これがアイツのお気に入りか？」

男2「あぁ。こいつがいれば…」

腕を捕まれ立たされる。あれ、これ以上攻撃されない感じか？

男1「下手な動きするなよ」

男2「もっとボコしてから運んだ方が…」

男1「馬鹿、大事な交渉材料だぞ」

今こいつ交渉材料、と言ったな。誰だ、誰をゆするつもりだ。鈍る思考を強引にフル回転させる。この辺でトップを張っているから故にヘイトも買っている「にじさんじ」、OBに悪口を言われていたという叶先輩、そのOBを締めた不破先輩達。だめだ、心当たりが多すぎてわからない。

もう喧嘩は売らないし買わないと誓ったのに、こんな形で巻き込まれるなんて。だからヤンキーは嫌なんだ。

あーあ。皆凹むだろうな。私のこと巻き込んだって知ったら。私なら凹むもん。だから中学のときは友達作らなかったんだし。

「家族」にも、また心配かけちゃうな。灰くん、怒るだろうなぁ。これじゃあヤンキー辞めた意味ないじゃんか。

こんな風になるなら…こんな風に、巻き込まれるなら。ヤンキーの友達なんて作るべきではない。

よし、決めた。

この件が全部片付いたら。
平穏な日常が戻ってきたら。



全員ヤンキーから足を洗わせてやろう。


だって、友達でいたいもんね。

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