優等生でいさせて！

恋愛以外の関係値 ページ20

黛「そういえば今日、明那もくるって」

「まじ？肉足りるかな」

加賀美「全然問題ないですよ」

ゴールデンウィーク初日から来るとか、どんだけ灰くんのこと好きなんだ。昨日もゲームしてたらしいのに。まぁ、灰くんだけじゃなく私も明那と遊びたいと思ってたので正直とても嬉しい。

そんなことを一人で考えながら作業していると、

三枝「え、もう準備ほぼ終わってるやん。出遅れた？」

後ろに明那が立っていた。
最近私、背後とられがちだな。察知能力が鈍ったか？

「早かったね。灰くんなんてさっき起きたよ」

黛「余計なこと言わなくていいから…」

灰くんからチョップを喰らう。軽めとはいえ、私が攻撃を素直に受けるのは相手が灰くんだから。中学時代に培った回避スキルは、さすがに「家族」相手には発動しないらしい。わざとらしく「いたい〜」と泣き真似をしていると、明那とハヤトさんが微笑ましそうな視線を向けていることに気付いた。

「そんな見ないでよ…」

三枝「いや、仲良しやなって」

言われた通り仲は良いが、改めて口にされると照れてしまう。明那の言う「仲良し」は邪推がない。よく世間の大人に言われる「仲が良い」は、もっと汚れたものだった。「血の繋がっていない男女」であることを改めて認識させようとしてくるような、私と灰くんが「家族」であることを否定してくるような。

だから私は、小さい頃から「恋愛」や「恋バナ」が好きじゃない。

だけど明那の言う「仲良し」は言葉通りの意味で、真っ直ぐな言葉が心をくすぐった。明那のこういうところが、私はとても好きだ。多分、それを言うと明那は私から離れてしまうから言わないけれど。彼は、好意を向けられることに酷く怯える傾向があるから。特に女子からの好意が苦手そうな気がする。直接聞いたわけじゃなくて、この１年で感じた印象に過ぎないけど。

いつか明那とも性別を超えた「親友」になれたらな、なんて思う。灰くんや不破先輩に負けないくらい、わたしだって明那と仲良くなりたい。

三枝「なに、考え事してる？」

思考の種である張本人が顔を覗き込んでくる。

「うん。明那のこと考えてた」

そう返せば、明那は真っ赤な顔で固まった。

家族の定義→←社長の立場

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す