検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:1,172 hit

山田 洋介の場合。 ページ1

「零さん……あそこに人が寝てる……」

一緒に散歩をしていたルルチアが、少し怯えたように私に言う。人通りが少ない所に、男性と思われる人が、全身に火傷を負って横たわっている。その様子を見たルルチアが私の腕に自分の腕を巻きつけてくる。
近づいて様子を見ると、どうやら不思議な仮面を被っていて顔が見えない。その男性は私たちの存在に気づいたようにぱち、と目を開いた。

「ここ、は……?」

「うーん、大丈夫?じゃ、ないよね。その火傷。どうしたの?」

体を起こそうとした男性に驚いたルルチアがさらに強く自分の腕を巻きつけたのを感じ、大丈夫だよ、と優しく言う。
結局男性は痛みのせいか体を起こすことができず、こちらをちら、と見た。

「え、と……」

視線を空に向けて考えるように目を閉じる。そして、男性は、さっきの状態とは明らかに違う反応を起こした。
いきなり状態が変わったのを見た私たちは、少し恐怖感を覚えて思わず後ずさる。

「え、大丈夫……?」

ルルチアが我慢できなくなったように驚きながら言う。正直私もこれには驚いた。
その男性は、まるで、私の必殺技、「-ERROR」を使った後になるような、悪夢を見て汗をかいたことを感じた朝の目覚めのような____
男性は、体をびくっと震わせて、顔色が悪くなる。

「あー……ごめん、ちょっと、思い出したくないわ……」

「……そっか。わかった。とりあえず、歩けなさそうだから私がおんぶするよ。ほら、乗って」

誰だってトラウマはあるものだ。そう、私だって、ルルチアだって、思い出したくないものはある。こんな能力を持っているのだから。
とりあえず、私たちの家(アーレス)に連れて行こう、と考える。あわよくば、アーレスに所属してもらうためにも。
ルルチアに手伝ってもらって、どうにか背中に乗ってもらおうと、しゃがんで腰を男性に向ける。

「え、そんな、あかんって……おんぶなんて……」

「動けないんでしょ?しょうがないよ」

「あー……そうやな、おおきに」

山田 洋介の場合。2→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
設定タグ:募集企画 , 派生作品 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:よもぎまんじゅう | 作成日時:2018年8月18日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。