《17》Friends…? ページ19
*
「野月とよもぎの知り合い…?」
『違いますよ。私は野月本人で、隣の美少女が千鶴ちゃんだよ』
そう私が言うと、藤堂がそれはそれは大きな声を出して驚いた。ぽかり、と軽い打撃が藤堂を襲う。発したのはよもぎだ。これに関しては彼が悪いので私は何も言わない。
「どうしたんだ平助、そんな大声だして」
案の定他の人が来た。原田さんだっただけまだマシと言うべきだろうか。その後を続くように永倉さんも現れた。本当にこの人達いつも一緒にいるなあ。
『何で皆此処に……』
はあ、とため息を吐いた私に『まあ、ここで事が起こったからな』と正論をこぼすよもぎだった。
『あらやだ正論』
「随分な別嬪さんになったな」
原田さんは私と千鶴ちゃんを見るとそう言った。
少しときめいてしまったのは私だけの秘密だ。秘密にする前に、よもぎを押さえつける。殴りかかりに行きそうだったからだ。
「あれ、何か騒がしいと思ったら……」
ひょっこり、と沖田が現れた。此処にいるということは、また何かやらかしたのだろうかと考える間もなく土方の怒声が響いた。
「おい総司!また盗んでいきやがったな!」
この怒り具合、十中八九豊玉発句集でも盗んだのだろう。あらまずい、と悪戯っ子のような笑みを浮かべた沖田さんは嵐のように消えていった。
「よもぎ、総司が何処に行ったか知らねぇか!?」
『ああ、あっちに行ったぞ』
すまねぇな!と叫んで追いかけていく土方さんの背中を見ながらよもぎが『まあ反対なんだが』と笑った。人が悪い。土方さんも大変だ。南無、と一人心のなかで手を合わせる。
「あの様子だと、土方さんまだ仕事が終わってねぇな」
『解るんですか?』
「ま、長年の付き合いだからな」
原田さんが不埒そうに土方が去っていった方向を眺める。やはり、長い友好関係というのはそこそこ影響するものらしい。
『よぉーし、よもぎ、千鶴ちゃん、お祭りに行こうか!』
「そうだね!」
「おっ、祭りに行くのか?」
『ついででもお酒は買ってきませんよ』
先回りして封じておく。が、今回はそうではなかったらしい。
「いや、そうじゃなくてよ。今、新選組を狙おうとしてる奴が居るって噂だ。気を付けろよ」
『勿論です。原田さん、ご忠告ありがとうございます』
ぺこりとお辞儀をした私の手を握ったよもぎと千鶴ちゃんは、出口の方へと私を引っ張っていった。
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作者名:柏よもぎ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2022年8月13日 9時