〈Remake〉最強チート夢主≒死神《薄桜鬼編第一刻》 (ページ14)

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《12》Blocking. ページ14

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浪士が池田屋に出入りするのが見え、奉行所に連絡を出したのだが役人は一人も来ることはなかった。沖田や藤堂の間に焦りが見える中、野月だけはじっと静かに、そこに居た。

「流石に遅すぎませんか？」

「会合終わっちまうぞ！」

「ううむ…」

「近藤さん、」

其の場に居た野月を除く全員が近藤の方を見て促す。
野月はといえば、よもぎと念を介して会話していた。其の会話の内容とは、(やっぱりこっちだったよ。ちゃんとここの史実通りに)だとか、(はやく野月に会いたいんだが)だとかである。

「…仕方あるまい。行くぞ！」

「はい！」

近藤は長考の後、決心したように前を見据えた。その声に永倉や沖田、藤堂は目をらんらんとさせた。らんらんしすぎてナウ○カの例のランランが流れてきそうである。何を言っているのだろうか。
この世界での史実ならば沖田総司が鬼の風間千景に倒れ、藤堂平助は額に大怪我を負う。この世界を変えるために、それだけは阻止せねばと野月は目を開く。

「御用改めである！神妙にしろ！抵抗するようならば切り捨てる！」

「大声で討ち入りを知らせちゃうなんて近藤さんらしいね！」

大声で知らせたからであろうか。二階から浪士がひょこりと顔を出した。そして彼らの隊服を見るなり「新選組だァ！」と叫んで斬りかかる。

「へっ、そっちのほうがいいだろ！」

「自分を不利にするのが定石ってか！？」

なんだかんだ愚痴をこぼしながらも目の前の敵を確実に斬り伏せていく其の姿は、流石新選組の隊長になる人間らである。
さて、そんな中野月は鬼の元へと向かうため階段へと一直線にかけていき、誰よりも早く敵を斬り伏せながら階段を登っていった。

「あっ、野月ずりぃ！」

「本当だよ僕が一番最初に行こうと思ってたのに！」

後方から聞こえる文句を左から右へと受け流しながら野月は返り血を拭う。白く輝いていたあの刀も流石に血がこべりついて赤く染まっていた。

『鬼が居そうな場所…』

野月は神経を尖らせて鬼の気を探る。すると奥の一室から二つの只者ではない鬼の気が流れてきた。

『あそこか…？』

二階に居たはずの浪士は殆ど下へ降りているようで、奥の部屋に行くのになんら苦は無かった。野月は一つ深呼吸をすると、扉を大きく開けた。

『御用改、新選組です！』

その先に居たのは、桟に腰掛けて退屈そうに喧騒を眺めている男とその従者らしき男であった。