烏よ、再び 番外編【ハイキュー！！】

超合同合宿　こころさんリクエスト ページ35

及川｢Aちゃん、よろしくねー……｣



　及川が疲れたような、弱々しい笑みを浮かべて手を握る。



　普段及川を雑に扱っているAが心配するほどの弱々しさだ。



『え、どしたの。お前ヤバくね？』



及川｢……あのメンバーでチーム組んでんだよ？ ヤバいに決まってるじゃん｣



　そう言って及川は己のチームメイトの方を振り返った。



　スパイカーは花巻、福永、角名。ブロッカーは天童、日向、リベロは西谷である。



　元気すぎる奴か、静かすぎる奴しか居ないのである。



及川｢さっきの試合、勝てたけど俺の精神がゴリゴリに削られたからね？！｣



　西谷はまぁ良い。



　ハイテンションだが。



　問題はその他。



　天童が日向に絡み、それに花巻がノる。



　それを見つめるだけ見つめる角名。



　……止めはしない。



　福永は無口過ぎて何を改善して欲しいのか分からない。



及川｢癖ありすぎなんだよ！ セッターとして全部使いこなすけどさぁ！！｣



　及川がグゥッと唸る。



『ああ、お互い頑張ろうな……』



及川｢そっちも大変だね……｣



　二人はお互いの顔を見て乾いた笑みをこぼした。





『チャンスボール！』



　芝山が危なげなくセッターに返す。



　黄金川はまだ緊張しているようで、強張った顔をしている。



　Aが助走に入る。



　黄金川のトスがAに上がる。



　やはりまだまだ発展途上。



　セットアップのフォームから上げる場所がバレてしまっていたようで、Aの前にブロックが３枚。




『──ちゃんと拾ってねっ！』



　リバウンド。



　緩く弧を描いたボールがAの頭上を通過する。



　月島がそれをレシーブ。



月島｢げ。すみません｣



『だいじょーぶ！ 皆落ち着いてけよ！！』



　Aがトスを上げる。



天童｢わお。お宅のエース、万能ダネー｣



日向｢Aさん、なんでも出来るんですよ！！｣



花巻｢うっへ。及川かよ｣



　トスが上がった先には黄金川。



　黄金川がセッターにも関わらず、強烈なスパイクを打ち込む。



西谷｢ふぐっ！｣



及川｢西谷君、ナイスレシーブ！！｣



　西谷が飛び込んで上げたボールに及川が触れる。



　なんとも柔らかなボールタッチ。



　それだけで彼がバレーにかけて来た時間の長さが分かるようであった。

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