烏よ、再び 番外編【ハイキュー！！】

椎名の風邪　あゆさんリクエスト ページ11

額の冷たさにふと目が覚める。



月島｢……あ｣



　椅子に座って本を読んでいた月島が声を上げた。



　……なんで月島？



　ていうかここどこ。



　月島がガタ、と椅子の脚を鳴らして立ち上がる。



　自分の顔に月島の影が落ちた。



月島｢目、覚めましたか。熱で気を失ってたんですよ、Aさん｣



『……なんで月島？』



　熱のせいで頭がうまく働かない。



　音が頭の中で漢字に変換できない。



　そのせいでおかしな質問をしてしまった。



月島｢僕ですみませんね。交代でAさんの様子見てるんです。保健室の先生が出張で居ないから｣



『ふーん……。皆は？』



月島｢部活中です。日向なんかは心配のあまりバレーに集中出来てませんケド｣



　少し浮かせていた上半身をベッドに沈める。



　……ダルい。



　とにかく体が重い。



　自分の荒い呼吸音が妙に大きく聞こえた。



　それっきり部屋が静まり返る。



　──が、遠くの方で荒々しい足音がたくさん聞こえて来た。



月島｢部活終わったみたいですね｣



　月島が呆れたようにほんの少し笑いながら言った。



　あ、月島が笑うの珍しい。



｢Aー！｣



｢Aさーん！｣



　扉が壊れるんじゃないかって音がした。



　顔を出すのはバレー部員達。



　日向と山口、西谷が布団にダイブして来る。



　いつもなら大歓迎だけど、今は勘弁して。



日向｢だだだ、大丈夫ですかっ？ Aさん！｣



　日向が頬を赤くさせて聞いて来る。



　多分急いで来たんだろう。



　明るい色の髪をわしゃわしゃと撫でてやる。



『んふふ、だいじょーぶ』



澤村｢大丈夫じゃないだろ。聞いたぞ？ ３９.２度だってな｣



『え？ そうなの？』



　自分ですら初めて聞く新事実。



　そりゃダルいわ。



　影山が日向を押しのけてグイッと俺に近付く。



　……相棒は大切にしようねー、影山君。



影山｢大丈夫ッスか。バレー出来ますか｣



日向｢出来る訳ないだろ！ 馬鹿か！｣



影山｢んだと日向ボケェ！｣



　一瞬で喧嘩になる。



　あとはそれを静めるスガと澤村の姿。



　自販機で買って来ただろうスポーツドリンクをくれる田中。



　やたらとギュウギュウと抱き着く後輩達。



『はは、俺幸せもんだわ』



　思わず、笑みが零れた。

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