烏よ、白鳥と ページ5
──翌日。
『さー、遂に決勝まで来ちゃったよ』
Aが体を伸ばしながら呟く。
澤村｢そんな悲観的な感じで言うなよ。来ちゃったって何だよ｣
澤村が呆れつつもAを見やる。
いつもの蹴りは襲って来ない。
──Aの膝には、治療用のサポーターが巻かれていた。
昨日はテーピングのみだった為、見た目にも酷くなっていると澤村は判断したのだろう。
実際、痛みは酷い。
昨日も酷かったが、それは今日の比ではない。
歩くだけでズキズキと膝が痛む。
ここに誰も居なければ、今すぐに崩れ落ちても致し方ない程だった。
『めっちゃ腹痛い』
思わず丸まる体を誤魔化すように言う。
元々が緊張しいのAなので、恐らく勘違いしてもらえた事だろう。
清水｢はい。胃痛薬｣
清水がサッと薬の入った箱を取り出す。
それと同時に薬を飲み込む為の水まで出して来た。
さすがは清水。
３年間マネージャーを務めてきただけはある。
ただし、
『……清水ぅー。それ、胃腸薬じゃなくて酔い止め。薬違いっす』
清水｢あ、ごめん｣
わざとなのか本気で間違えたのか。
清水が真顔で謝る。
その後ろではワタワタと谷地が鞄の中を引っ掻き回している。
『あ、谷地さん探さなくていいよ。どうせ時間が経ったら治るし』
Aが苦々しく言う。
いつの間にかチョコッとAの隣にいた西谷が豪快に笑う。
西谷｢Aさん、なんでそんなに緊張してんスか！ コートの中に入ったら平気なのに｣
『いや、コートん中はあれじゃん？ 戦闘モードって感じで出来んのよ』
西谷は少しばかり唸り、｢分からない事もない｣と返した。
その二人の会話を聞いた木下と成田が、有り得ないというように目を見開いた。
わちゃわちゃと騒ぐ部員達を尻目に、Aが呟く。
『……久しぶりだねぇ、ウシワカ君』
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お気に入り登録、４００人ありがとうございます！
自分の文の書き方だと別に台本書きじゃなくても良いんじゃ……。と最近思いました。
(この作品が完結するまでは、ちゃんと台本書きで行きますよ)
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けっしー - 今更ですが、感想をどうしても書きたかったので、書かせていただきます。この作品に出会えて良かったです。これ程惹かれる作品に初めて出会いました。終わりまで綺麗で涙を流してしまいました。今更ですが、更新お疲れ様でした。 (2020年5月24日 13時) (
レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
るるまみ - 感動しました。この作品を作って下さりありがとうございました。私自身膝を壊して引退せざるを得なくなった身なので共感できる場面多かったです。更新お疲れ様でした！ (2019年12月7日 18時) (レス) id: 727e2b3150 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - ��さん» 返信が遅くなり、申し訳ありません。更新を楽しみに待って頂けて、本当に嬉しい限りです。応援ありがとうございました！ (2019年10月25日 21時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - うさぎさん» ありがとうございます！ そんなに褒めて頂いてとても嬉しいです。長い間応援ありがとうございました！ (2019年10月23日 7時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - 完結おめでとうございます。シリーズの最初からずっと面白い作品で夢中になって読んでいました。本当に最高の作品でした。お疲れ様です。 (2019年10月22日 23時) (レス) id: 1ab5dd9ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よもぎ餅のわらび | 作成日時：2019年10月6日 17時
