烏よ、再び５ 青葉城西編

烏の火 ページ22

──烏野１５点、青葉城西１６点。



西谷｢んぎィ……！｣



　及川の強烈なジャンプサーブに向こうのリベロが唸った。



　悔しそうにしてるけど、あれを上げられたのがまず凄いわ。



　何だアレ。化け物かよ。



　捉え切れず、長くなってしまったレシーブが１１番と金田一で押し合いになる。



金田一｢ッ！｣



　１１番が上手く力の軌道を逸らし、ボールを落とした。

　

　烏野側に点が入る。



金田一｢ンッグウ、すみません！｣



　金田一が顔を歪めてペコリと頭を下げた。



及川｢大丈夫大丈夫！ その分、次に点取ればいいから！｣



　及川が明るく金田一の背を叩く。



　あんなゴリラに叩かれたら金田一の背骨、折れるんじゃねぇの。



　マジで止めてやれ。






日向｢大王様、やっぱスゲーな｣



　影山の隣に来た日向がそう呟く。



影山｢……分かんのか｣



日向｢なんかスゲーのは分かる！ だがしかし！｣



　唸るように言った影山に日向が笑いかける。



　パッとその顔に光が差し込む。



　日向の明るい色の髪が光を受けて煌めく。





日向｢俺が居れば、お前は最強だ！｣





　──馬鹿みたいに真っ直ぐで、疑うことを知らない雛烏。



　それは時に、全てを知って全てを諦めてしまった者に熱い火を点(とも)す。



　思わず弧を描きそうになる唇を、影山がギリッと噛んだ。



　俯きかけていた目が前を向く。



A｢……若いねぇ｣



　Aが少し、寂しそうに言った。

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