烏よ、再び５ 青葉城西編

青葉の重み ページ8

──烏野１６点、青葉城西１５点。



　影山の強烈なジャンプサーブに渡のレシーブが乱れた。



及川｢頼むよマッキー！｣



『あいよっ！』



　ボールの落下地点に素早く入り込み、早鐘を打つ心臓を宥める。



　腕を伸ばし──、バックトス。



　入って来ていた国見に上げる。



国見｢っ、｣



　国見のスパイクがブロックアウトを取る。



金田一｢ナイストスです！｣



　……良かったー。



　反則取られてないよな？ 変な音鳴らなかったよな？



　未だに落ち着きなく弾む心臓に手を当てる。



松川｢花ー。ブロックのことなんだけどさぁ｣



『どわっ！』



　背後からぬるっと声をかけられ、変な音が口から出る。



　心臓止まるわ！



松川｢……なんかスマン｣



　松が困惑気味に頭をポリポリとかいた。



『イイエ。ブロックがどしたの？』



松川｢えー、あの神業速攻の事なんだけどさ──｣





　──影山の超高速トス。



　その先には当たり前のように１０番が跳んでいる。



　その目は強く、トスを求めていた。



　まるで飢えた獣。



松川｢……｣



　俺の後ろから、入れ代わるように松川が出る。



　クロス側を松川が締めた。



日向｢──っ｣



　松川のブロックの威圧に１０番が怯んだように見えた。



　小柄な１０番を囲い込むようなブロック。



　こんなもの、クロス側に打とうとする馬鹿はいないだろう。



金田一｢ッシャア！｣



　ストレートに構えていた金田一がレシーブする。



及川｢金田一、ナイスレシーブ！｣



　及川のトスが岩泉に上がる。





　──気持ち悪い、と感じるほどに。



　息のあったコンビネーション。



　幼なじみだとか、仲間だとか、関係に名前が付けられているけど所詮は他人のはず。



　なのに、なぜあんなに信頼出来るのか。



　あんな馬鹿みたいに信頼しきったトス。



　あんな馬鹿みたいに信頼しきった跳び方。



　多分、両方とも馬鹿なんだと思う。



『──まさしく、｢阿吽｣だよな』



　岩泉のスパイクが床を叩いた。

青葉の重み→←青葉の重み

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す