烏よ、再び５ 青葉城西編

青葉の幹 ページ12

──烏野１１点、青葉城西１３点。



　１０番のサーブを渡がレシーブ、伸びやかなトスを及川が上げる。



『ほっ！』



　今日は及川、すげぇ調子良いみたいだ。



　俺の最高打点ドンピシャにトスが上がってる。



　これ以上ないと思えるほど完璧なトスをスパイクする。



田中｢──っ！｣



　坊主頭の選手が拾った。



　影山がトス──、１０番のバックアタック。


　
　こいつ、バックアタックなんか初めて……っ！



日向｢ギッ！｣



　ダダンと勢いよくバックアタックがブロックされる。



　綺麗なドシャットだ。



　ブロックしたのは及川一人。



及川｢随分チビちゃんを空気にしてんなーと思ったよ。｢今が使い時だー！｣って思った？｣



　及川がスッと意地の悪い笑みを浮かべ、影山を見下ろした。



　その美しい顔が妙に引き立つ表情だ。



　──俺も思った☆



『……とても楽しそうですね。及川さん』



松川｢セッターには性格の悪さとか要るけどさぁ……。さすがに引くわ｣



　松が引き気味に及川を見ている。



　チラリと岩泉の方を見ると、さすがの岩泉も引いている。



　ネットを挟んだ向こう側にいる影山が鋭く息をついている。



　……うん、ありゃ腹立つな。



　俺も味方だけど腹立った。つーかめっちゃムカつく。



『及川ぁ……』



　失望したような声音で及川を呼ぶ。



　失望っていうか、知ってたけどな。



　こいつが性格悪いってのは。



及川｢え？ やだな、今のは牽制だってば｣



岩泉｢んなスッキリしたー、みたいな顔して言われてもな……｣



　及川がどことなく冷や汗を浮かべた。



　岩泉が心底がっかりした、とでも言うように据わった目で及川を見つめた。



　さしもの京谷でさえも、片頬を引き攣らせていた。

青葉の幹　入畑より→←烏という化け物

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す