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烏よ、道は ページ5

武田「──A君」



 教材準備室で他の3年生と共に進路の話をされた後。



 部屋から出ようとするAを武田が呼び止めた。



 Aは澤村達に先に部活に行くように言い、武田に向き直る。



『はい、何でしょう?』



 Aは妙な余裕を持って問い掛ける。



武田「先程も言いましたが……。良いんですか? 部活を続けて」



『どういう意味ですか? 俺は自分の、後悔しないほうを選びましたが』



 Aはゆるりと微笑む。



 その細まった目の中に光る確かな感情。それを、武田は見つけてしまった。



 ──絶望という悲しみの、その片鱗を。



武田「……いえ、何でもありません」



『そうですか』



 武田は柔らかく紡ぎ出された声で、分かってしまった。



 Aは知っている。



 自分で、気付いてしまっている。



 武田は思う。



 この悲しい感情は救えない、と。



武田「ああ、そうだ。ストーカーの件はどうなりました?」



『俺と死ぬ、という思い込みに捕われてたらしいですね。その思いだけであそこまで実行したみたいです』



 「思い込みって怖いですね」とAは苦く笑う。



 武田はA以上の苦い表情をしていた。



 険しく眉をひそめ、Aを心配している。





 今のAは──、まるで道化だ。



 ナニカを隠すため、必死で道化を演じている。



武田「……何かあったら、言って下さいね」



 武田はAから無理に道化を剥ぎ取ることはせず、そう言った。



 そうとしか言えなかった。



 しかし、きっとAは何も言わない。



 人を頼ることをしない。



武田「──なんて、悲しい人なんでしょうね」



 武田の呟きが虚しく広い部屋に響いた。





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紅嵐(プロフ) - 孤爪が狐爪になってますよー。 (2020年5月30日 8時) (レス) id: 1d90d43033 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - テトさん» 分かりました! 頑張って会話、増やして行きます。更新は暇なときは異常に頻度が高いのでご安心を。 (2019年9月9日 7時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
テト - この作品とっても面白くて好きです。更新楽しみにしてます!武田先生と烏養さんとの会話増やして欲しいです!あと、松川さんと花巻さんと会話してほしいです!菅原さん推しです。 (2019年9月8日 23時) (レス) id: eecfed04fa (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - やった、及川さん推しが居ましたー! 夏葵さん、カミューさん、コメントありがとうございます。 (2019年9月7日 18時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
夏葵 - とても楽しく読ませてもらってます!及川さん推しです! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 668af22414 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よもぎ餅のわらび | 作成日時:2019年8月24日 17時

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