烏よ、望みを ページ33
『はー、動きすぎて吐き気するわ……』
Aは手を膝に置き、胃からせり上がるものを無理矢理飲み下した。
澤村｢大丈夫か？ ……でも気持ちは分かる｣
Aに澤村が心配そうに声をかけ、遠い目をする。
ここまで烏野は３連続休み無しで森然、生川、梟谷と試合をしている。
が、なにぶん進化途中なので負ける。
その分他の高校よりも、ペナルティーの坂道ダッシュをこなしているのだ。
辛くもなる。
『ね、谷地さん。俺のジャンプサーブの成功率、どう？』
Aが紙に何かを書き込んでいる谷地に話しかける。
１試合目が始まる前、Aが谷地に頼んでいたものだ。
谷地｢シャ、シャチ！ ……成功率は３割強、ですね｣
『やっぱそのくらいかー。ありがと、谷地さん』
谷地の緊張気味の返事、｢シャチ！｣に首を傾げつつもAが礼を言う。
谷地に背を向けた後、Aが悔しそうに唇を噛む。
澤村｢A、影山が……｣
澤村がちょいちょいと後ろの影山を意味ありげに見る。
その唇は僅かに緩んでいる。
影山は澤村の背から顔を出し、心を落ち着かせるように短く息をついた。
影山｢……Aさんの、ジャンプサーブについてなんスけど｣
『ん、おぉ？』
影山がためらいがちに切り出す。
影山｢サーブトス、もうちょっと前にした方が良いかもしれません。……生意気にすみません｣
『あ、ありがと影山。サーブトス前に、な。やってみるわ』
おずおずとアドバイスをする影山に、Aが戸惑う。
──今までの影山は、こんな感じではなかったはずだ。
いつもより少し柔らかくなった影山にAがゆるりと微笑む。
その笑顔は大輪の花が咲くような、というのが過言ではない程華やかであった。
澤村｢生意気なんかじゃないからな、影山。そういうことはどんどん言ってくれ｣
チーム内の空気がフワリと軽くなる。
その空気に、ベンチに座っていた烏養が満足げに目元を和らげた。
菅原｢おーい、次生川との試合！ 早く入れってさ！｣
菅原がパタパタと駆け寄って来る。
日向がペロリと唇を舐める。
──いや、舌なめずりと言うべきか。
獣のように目を爛々と日向は光らせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅嵐(プロフ) - 孤爪が狐爪になってますよー。 (2020年5月30日 8時) (
レス) id: 1d90d43033 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - テトさん» 分かりました！ 頑張って会話、増やして行きます。更新は暇なときは異常に頻度が高いのでご安心を。 (2019年9月9日 7時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
テト - この作品とっても面白くて好きです。更新楽しみにしてます！武田先生と烏養さんとの会話増やして欲しいです！あと、松川さんと花巻さんと会話してほしいです！菅原さん推しです。 (2019年9月8日 23時) (レス) id: eecfed04fa (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - やった、及川さん推しが居ましたー！ 夏葵さん、カミューさん、コメントありがとうございます。 (2019年9月7日 18時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
夏葵 - とても楽しく読ませてもらってます！及川さん推しです！ (2019年9月7日 18時) (レス) id: 668af22414 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よもぎ餅のわらび | 作成日時：2019年8月24日 17時
