烏よ、備えよ ページ3
藤永「……はーい、お疲れー」
騒々しく扉を開けたのはA。
相当急いできたのか、腰に手を当てて肩で息をしている。
『っす、すみませ……っ。完全に忘れてて』
藤永「おーおー、ええ度胸やなぁ。さっさと座り。診察始めんで」
藤永は患者の前にも関わらず大きなあくびをして言った。
電話で言っていた「眠い」というのは本当らしい。
Aは遠慮がちに椅子に座り、ジャージを脱いだ。
藤永「試合、どこまで行った?」
藤永がぐりぐりとAの膝を回しながら言う。
『試合は第三試合までですね。青葉城西に負けました』
藤永「あー……。青葉城西な。あそこ強いよな、昔も安定して強かったで」
『……そういえば先生、どこの高校出身なんですか?』
ウンウンと懐かしむように頷く藤永にAが聞く。
関西人のようだから、やはり近畿辺りの高校だろうか。
藤永「え、俺白鳥沢」
『本当ですか!? じゃあ関西弁……』
けろりと言う藤永にAが驚きの声を上げる。
白鳥沢といえば全国3本の指、牛島若利擁する絶対王者。
そして白鳥沢は宮城県内だ。
藤永「いやー、元々関西に住んでたんやけどな。どうしても白鳥沢でバレーがしたくって、俺だけこっちに来てん」
『バレー部だったんですか!』
今日聞く話は全て、Aにとって初耳だ。
白鳥沢バレー部出身だったことに加え、更にレギュラーでセッターをしていたらしい。
『先生ってすごい人だったんですね……』
藤永「ま、だいぶ前の話やから」
感心しきったようにAは長く息を吐いた。
呆けたAの膝を藤永が軽く叩き、正気に戻らせる。
藤永「ほれ、終わったで。痛とうなったら絶対来いや。前も言うたけど、今度壊したら歩けんようになるかもしれんねやからな」
『はい、ありがとうございました』
藤永が顔をしかめて忠告する。
それをAが軽く流すように笑った。
──そんなこと、自分が一番知っている。
この不良品の膝は、そう長くは持ってくれないのだから。
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関西人ですが、いざ関西弁を文にするとめっちゃややこしいです。
特に藤永の「歩けんようになるかもしれんねやからな」。
平仮名……
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紅嵐(プロフ) - 孤爪が狐爪になってますよー。 (2020年5月30日 8時) (レス) id: 1d90d43033 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - テトさん» 分かりました! 頑張って会話、増やして行きます。更新は暇なときは異常に頻度が高いのでご安心を。 (2019年9月9日 7時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
テト - この作品とっても面白くて好きです。更新楽しみにしてます!武田先生と烏養さんとの会話増やして欲しいです!あと、松川さんと花巻さんと会話してほしいです!菅原さん推しです。 (2019年9月8日 23時) (レス) id: eecfed04fa (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - やった、及川さん推しが居ましたー! 夏葵さん、カミューさん、コメントありがとうございます。 (2019年9月7日 18時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
夏葵 - とても楽しく読ませてもらってます!及川さん推しです! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 668af22414 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎ餅のわらび | 作成日時:2019年8月24日 17時