烏よ、再び３【ハイキュー！！】

烏よ、誓え ページ26

最初の試合相手は梟谷。



　Aは後衛のレフト側からのスタートだ。



　ピピーッと高らかに笛が鳴り、向こうのサーブから始まる。



西谷｢ッシャア！｣



　西谷が綺麗にレシーブする。



　影山はトスの為に両腕を上げるが、ブツブツと何事か呟いている。



　日向が飛び出し、超速攻。



　──の、はずだが。



　ポロ、と珍しく影山がトスを失敗した。



　ボールは日向まで届かず、軽い音を立てて床に転がる。



『……』



　Aがキュウ、と目を細める。



　──今のトスは、落ちたように見えた。



　いつもの超速攻の影山のトスは、日向に向かって一直線に上げられている。



　が、今のトスは放物線を描いて落ちた。



　いつものトスとは明らかに違う。



『頑張んなきゃ置いてかれちゃうなー』



　Aはゆったりと笑いながらレシーブの構えに入った。





　──梟谷９点、烏野４点。



　再び超速攻が繰り出されるが、今度は影山のトスが伸びすぎる。



　そのまま落ちるかと思われたトスだが、日向が咄嗟に左手で浮かせる。



　ボールは白帯に当たり、ぎりぎりで向こうのコートに入った。



『おおー！』



　Aは日向の成長に歓声を上げながらサーブ位置につく。



　ダンダンッと力強くボールを床にたたき付け、笛と共にサーブトスを高く上げる。



木兎｢んおっ？｣



　ネットの向こう側で木兎が驚いたように声を上げた。



　Aはしっかりと助走をつけ、跳び上がる。



　──ジャンプサーブ。



　威力は十分だったが、サーブトスが自分に近すぎたのか、アウトしてしまった。



『あっ、スマン！』



　Aが顔の前で両手を合わせて謝る。



　その様子を見ていた猫又が、愉快だというように笑った。



　その後も菅原をセッターとしてシンクロ攻撃をしようとして失敗したり。



　バックゾーンから踏み切ってのリベロのトスを失敗したり。



　そんなこんなで結局、烏野は２５対１２で負けてしまった。



『あはは、これは要練習だねー』



　水分を取りながらAが眉を下げて苦笑いする。



澤村｢本当、今日はまったく噛み合って無かったしな｣



西谷｢……俺、この合宿終わるまでにAさんにトス上げます！｣



　澤村がAに同意し、西谷が決意を新たにする。



　他の面々も次々に熱い宣誓をする。



　──その様子を一人、月島が冷めたように見つめていた。


　

ご挨拶→←烏よ、他種と

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す