烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、求めよ ページ19

放課後の部活が始まる前のミーティング。澤村が実に嬉しそうに報告する。



澤村｢──はい、という訳でAの怪我が治りました！｣



『これからは馴らして行きながらだけど、練習に参加しまーす』



　そう言いながら、Aはニカッと笑った。



　数秒体育館は静まり返り──。



　一気に喜びの絶叫と涙に満たされた。



日向｢うぉぉぉぉぉぉ！ エース復活！｣



影山｢Aさんっ！ トス、打ってもらっていいっすか？｣



田中｢Aさ……っ、本当に良かったっす！ なあノヤっさん！｣



　田中がボロボロに泣きながら西谷に同意を求めた。



西谷｢……｣



　いつもなら威勢良く同意するはずの西谷は、俯いて黙っている。



　様子のおかしい西谷に、田中は具合でも悪いのかと心配そうに眉を下げた。



『に、西谷……？』



　西谷は周りの様子を気にすることなく、ずんずんとAに近付く。



　そして、ガシッとAの両腕を掴んだ。



西谷｢ほん……っと、治って良かったっす。今度こそ、もう駄目かと……思って……｣



　西谷が泣きそうなのを我慢し、顔を歪める。



　──その声は、誰も聞いたことがないほど震えていた。



　西谷はAと同じ、千鳥山中学出身。



　そして、同じバレーボール部で、同じチームで。



　二度もエースが壊れた所を見てしまっていたのだ。



『……ごめん、心配かけた』



　Aは慰めるように優しく西谷の頭を撫でた。



　Aの腕を痛いほどに掴む、その熱い手が細かく震えた。



西谷｢……次こそ、折れないでくださいよ。エース｣



　西谷は少し赤くなった目元を擦って言った。



田中｢ノ、ノヤっさぁん｣



　そんな西谷の背後では、二年生組が滝のような涙を流していた。

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