烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、求めよ ページ18

『澤村、スガ。ちょっとこっちへ』



　病院から帰ってきたAが澤村と菅原に向かって手招きする。



澤村｢どうしたんだ？ もうすぐ部活始まるけど……｣



　そこじゃ駄目なのか、と澤村が言外に聞いた。



　その言葉にAは否定の意を示す為、首を横に振った。



『実は、膝治ったんだ。先生のお墨付き』



澤村｢よかった……。なら、もう普通に出来るんだよな？｣



　うん、とAが頷こうとした時。



　Aの腹に重い衝撃が走った。



『ぐぇっ』



菅原｢A……、本当に治ったんだよな？ もう大丈夫だよな？ ごめんなぁ｣



　Aに抱き着いたまま、菅原は鼻をすすった。



　頼りなく肩を震わせる菅原。



　｢ごめんなぁ｣とは何のことだろうかとAは思案し、はたと気付いた。



『スガ、俺の怪我はスガのせいじゃないから。謝るなよ』



菅原｢俺のせいだってば。……気付けなかった｣



　菅原は悔しそうに唇を噛み締めて言った。



『んーん、俺痛いって言わなかったし。な、スガ』



　Aが柔らかな声で菅原を呼ぶ。



　菅原がパッと顔を上げる。その勢いで、目元の涙が散った。





『──トス、上げてくれよ』



　Aの、暖かな陽射しのような笑みが菅原の目に映った。



　ようやく乾いてきた菅原の目が急速に潤み始めた。



菅原｢うん……っ！ いっぱい、要らないってくらい上げてやる！｣



『要らないってことはないから安心して』



　Aと菅原は顔を見合わせ、くすくすと笑った。

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