烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、魅せよ ページ15

諸々の挨拶が終わり、バスに戻ろうかといった時。



澤村｢……正直、周りを固めるのが俺達じゃあまだ弱いよな｣



　澤村がぽつりとそう言った。



　確かにあの超速攻がどんなに凄くても、レシーブが弱いなら必ずどこかで頭打ちになる。



『そーだ……』



及川｢おおー、さすが主将！ ちゃんとわかってるねー｣



　Aが答えるのを塞いで、校門に寄り掛かった及川が言った。



　Aがギッ、と及川を睨む。



及川｢Aちゃん、怖い｣



　及川が怯えたように首を竦めた。



　及川はその後、｢レシーブちゃんとしなよ｣という旨の事を言い、去っていった。



　及川が話している間、Aは威嚇するように睨んでいたが。



武田｢皆さん、バスに乗ってください！ 帰りますよー｣



　武田の声にワラワラと部員達がバスに乗り込む。



　Aの隣は、なぜかまた影山が陣取っていた。



影山｢……Aさん｣



　バスが動きはじめて少しした頃、影山が意を決したようにAに話しかけた。



『ん、何？』



影山｢その……、怪我は大丈夫なんですか？ いつ頃に治りますか？｣



『えーっと、多分一週間後くらいには治ってるんじゃないかな。インターハイには間に合うよ』



　Aはいきなりの質問に戸惑いつつも答える。



　そうすると影山はホッとしたように表情を緩めた。



　もしかして、行きのバスもAの横を取ったのはそれを聞きたかったからなのだろうか。



『……ありがとな、心配してくれて。可愛い奴め！』



　Aはそう言うと、影山の丸い頭を撫でた。



　心なしか、影山の瞳がキラキラと輝く。嬉しそうだ。



日向｢うっ、わぁ！｣



　ガタッ、と大きめの石を踏んだのかバスが揺れる。



　バスが揺れた衝撃で、ちょうど水を飲もうとしていた日向の水筒が宙を舞った。



『……あ』



　そして、ものの見事に水筒の中の水はAにぶちまけられた。



　ぽたぽたとAの髪から雫が垂れた。



日向｢すっ、すみません！ タオルタオル……！｣



『だいじょーぶ、お茶じゃないだけまだマシだし。ほら、水も滴るいい男って言うじゃん？』



　Aが幾分か重くなった前髪をかき上げた。



　Aの言葉は日向をフォローするもので、別に他意はなかった。



影山｢……Aさん、及川さんみたいっすね｣



『影山ァ！』



　

　──翌日、Aは風邪により学校を休んだ。

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