烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、刮目せよ ページ11

『おうおう日向！ 絶好調じゃねーの』



　そう言ってAが日向の頭をぐりぐりと撫でた。



日向｢へへっ、アザッス！｣



　によによとしながら日向が頭を下げる。



　良い反応の奴ほど可愛がりたくなるのは、先輩心ゆえだろうか。



影山｢Aさん｣



『どした、影山』



　影山が険しい顔つきでAに話しかけた。



　影山のこの顔はデフォルメだと分かってはいるが、Aとてビビるものはビビる。



　やや引き攣り気味の顔で対応する。



影山｢多分……ですけど。向こうのセッター、正セッターじゃないです｣



　今の青城のセッターは５番のゼッケンを付けた選手。



　印象としては可もなく不可もなく。薬にもならないが毒にもならぬといった選手だ。



『やっぱり？ 青城のセッターといえば──』



｢キャー！ 及川さーん！｣



　苦い顔をしたAの言葉を、甲高い女子達の声が遮った。





　──第３セット目開始直後。



　ソレは現れた。



？｢アララッ。１セット取られちゃったんですか！｣



　余裕の表情で体育館に入って来た、長身の男。



『来たな。──及川徹』



　セッターでありながら強烈なスパイクやブロック、サーブを操る選手。



　もちろんトスも文句なし。



　総合力ならば県ナンバーワンセッターと噂される、青城の主将。



　及川はベンチに座るAにちらりと目をやった。



及川｢やぁやぁ久しぶり。Aちゃん？ どうしてそんな所に居るの｣



『……別に。故障しただけだから』



及川｢っえ、故障したの？！｣



　大騒ぎする及川を白い目で見つめるA。



　そんな二人を驚きの目で見る選手達──。


　
　そんな中で、岩泉が及川の元に近づく。



及川｢痛っ！ 何すんのさ岩ちゃん！｣



　岩泉が騒ぐ及川を叩いて黙らせ、Aの前で仁王立ちをした。



岩泉｢やっぱお前、千鳥山の主将だった奴だよな？ 確か、椎名A｣



『うわー、覚えててくれてウレシイなー』



　Aが全く嬉しくなさそうな声で答える。



影山｢え、Aさんって千鳥山だったんすか？！｣



菅原｢そー。俺らも二年になって初めて知ったよ。あいつ、意外と隠す癖あるからな｣



　菅原が深く頷きながら言った。



　パンパン、と大きく手が鳴らされる。



澤村｢それは後で！ 試合止まっちゃってるぞ！｣



　澤村の一言で軌道修正され、試合はようやく開始された。

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