烏よ、再び【ハイキュー！！】

烏よ、落つる ページ13

それは、中学３年生。総体の準決勝──



　バガンッ、とまたボールが吹き飛ぶ。ブロックアウトだ。



　ブロックアウトにされた岩ちゃんは機嫌悪そうに大きく息を吐いた。



岩泉｢……あいつ、強えな｣



及川｢そーだね。……正直、攻略方法が見つかんない｣



　あまりに隙がない。



　仲間と喜び合う千鳥山のエースを、俺は睨みつけるようにして言った。



　あのエースはトスさえ上がればどこにだって打てる。



　きっと他の人よりブロックの位置がはっきり見えているんだろう。



及川｢どーしよっかなぁ｣



　腰に手を当て、天井を仰ぐ。



　ここで勝てなければ牛若を倒せない。



　──既に１セット取られた。このセットを取れなければ終わる。



　向こうからサーブが飛んで来る。レシーブ、次に俺のトス。



及川｢……岩ちゃん！｣



　岩ちゃんがスパイク、向こうのレシーブ。……向こうのリベロ、レベルが高いんだよな。



　トスはやはりエースに上がる。



　ブロックが３枚付いていても、あのエースは絶対に決める。



　ブロックの後ろについて、スパイクを迎え撃つも弾かれる。


　
　──また一点取られた。



　その時、ズダンッと聞き慣れない音が耳に入った。



｢A、A！｣



『……っう、』



　彼のチームメイトが一カ所に集まる。



　その中心には、膝を押さえ苦しげな表情を浮かべるあのエースがいた。



　エースは担架に運ばれコートを出て行く。



　結果的には俺達のチームは千鳥山に勝ち、決勝戦に駒を進めた。





　──後から聞いた。



　あのエースは椎名A。



　そして、スパイカーの命である膝を壊してしまったと。


　

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