烏と未来 ページ15
藤永｢アホや。お前は本物のアホやで｣
回転式の椅子に座った藤永がAを睨みつける。
──藤永接骨院。
Aは烏養に言われ、病院に来ていた。
藤永｢痛くなったら
藤永はもう一度、Aにアホかと言った。
Aは誤魔化すように曖昧に笑う。
『これ、最低どれくらい安静にしてたらバレー出来ますか？』
そう言ってAは自身の右膝を指差した。
春高代表決定戦は10月下旬。
せめて決定戦の３週間前には練習に参加し、勘を取り戻したい所だ。
藤永はチラリとAを見た後、パソコンに情報を入力しながら言った。
藤永｢──２ヶ月｣
『は、』
サラリと告げられた言葉に、Aは息を漏らした。
藤永｢正確には、２ヶ月ちょいって所ちゃうかな｣
藤永はキィ、と耳障りな音を鳴らして椅子をAの方に向けた。
その音で我を取り戻したAが勢い込んで声を上げた。
『２ヶ月……！？ それじゃ、代表決定戦に間に合わないじゃないですか！』
藤永｢しゃあないやろ！ ……今までのツケ、全部回って来とんねんから｣
藤永が苦しそうに下を向いた。
部屋に重い沈黙が下りる。
藤永｢……なるたけ、お前が春高に出場出来るようにはする。でも間に合わんかったら多分、｣
藤永がそこで言葉を切った。
コクリと藤永の喉が、覚悟を決めるように小さく鳴った。
藤永｢──多分、お前は選手として終わる｣
藤永は柔らかい言い方をしたが、言ってしまえばもうバレーをすることは叶わなくなる。
恐らく、治療は代表決定戦に間に合わない。
これまでの無理がたたったのだ。
Aはフウッ、と息を短くついて顔を上げた。
──Aは、笑っていた。
『それでも治療すれば、春高でバレーは出来るんですね？』
Aは将来よりも、今の仲間で出来るバレーを心配していたのだ。
藤永は泣きそうに顔を歪めると、無理矢理に笑って言った。
藤永｢ほんまにお前、バレー好きやなぁ……｣
──この日、Aの可能性が一つ死んだ。
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うさぎ - 了解です。青城好きなので楽しみです！ (2019年9月16日 21時) (
レス) id: 1ab5dd9ceb (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - うさぎさん» コメントありがとうございます！ �△任垢�……。青城戦だけ異常に長くなるかもしれませんね。 (2019年9月16日 19時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - いつも楽しく読ませて貰っています。私は、��番希望です。これからも応援しています。 (2019年9月16日 19時) (レス) id: 1ab5dd9ceb (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - 餅兎さん» 青城がめちゃめちゃ好きなので、続編は丸ごと対青城になりそうです。それから丁寧な回答、ありがとうございます！ (2019年9月16日 11時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - 狐猫音。さん» コメントありがとうございます！ だいぶ長編になるので困ってたんです……。 (2019年9月16日 11時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よもぎ餅のわらび | 作成日時：2019年9月9日 7時
