泡が4つ ページ4
考えていても仕方がない、とりあえず追いかけよう。
それで、違う本と取り替えよう。あれだけはダメなんだ。あれだけは。
急いで部屋を出てウタを追おうとした時、どこかから何かが落ちた音が聞こえた。その音に続いてドタドタと複数の足音も聞こえる。
足は自然に、音のする方へ向かっていた。
音は、皆が食事をする場所から聞こえていてどうしたのかと覗いて見れば、誰かを囲んで船の大半がここに居た。
なにか良くないことでもあったのかと、不安になり声をかける。
『ねぇ、さっきすごい音聞こえたけど…』
『大丈夫？』みんなが僕の声に驚き一斉に振り返る、そして探していた人物ウタが中心に居るのをハッキリ見えた。
『あ！ウタ！探してたんだよ。さっき持って行った本、あれは大切なものだから、なにか本が読みたいならあれ以外で……』
こちらに気づき、焦った様子で後ろにある何かを必死に隠そうとするウタ。
何があったのか状況が理解できるまでにそんなに時間はかからなかった。
テーブルの下まで滴る、ジュースに割れてるコップ。その隣に開かれたままの本。
嗚呼、最悪だ。
何も言わずに淡々と歩き出す僕に「あのね、その、あの」とモゴモゴと口を動かすウタ。それを見て周りのみんなも「わざとじゃないんだから」という。
まずは言うことがあるんじゃないかな、ウタ。悪いことをしてしまったらごめんなさいって言うんだよ。そう叱ってくれる人はここにはいないらしい。
ジュースのシミで霞み始める文字。本に手を当ててページをめくろうとすれば水分の重さでちぎれていく。
落ちたコップの破片を素手で片付け、濡れたジュースをその辺にあった雑巾で拭く。
「お、おい。A。危ないぜ、そんなのは俺達がやるから」
『しばらく』
善意か、はたまた焦ってかかけてくる声を遮り言葉をこぼす。
『しばらく部屋から出ないから。誰も来ないで。ご飯も要らない。』
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
