泡が13つ ページ25
「Aのバカ！！！！！嫌い！！！」
そう言って、食堂から逃げるように走り出すウタ。
それと同時に箸を持つ手が止まる僕と、一気に静まり返る周り。異様に寒い。
どうしてこうなったのか、それは数分前に遡る。
何かの弾みで、ある内容を皆に質問して回るウタ。
聞いたところによると、本で見た家族の会話を真似したかったんだとか。
「ねー！アタシとA、どっちがすき？」
最初は、その質問に皆はゴモゴモと詰まり、後ろに居る僕のことをウタと交互に見て困っていた。しかし、ウタに「真似っ子してよ〜！」と少々、不貞腐れてしまったことから皆は機嫌を治してもらおうと、各々悪魔の言葉を口走って言った。
「勿論、ウタのが好きだぜ！な、なぁ？」
「お、おう！」
みんなの口から出たその言葉を、聞きたくなかった。自分では理解していたものの実際にみんなの声で聞きたくなかった。
そんな聞くに絶えない会話を、僕が居るのを分かった上で続けていくウタ。なんでこんなことするの？そう聞いたところで、綺麗な回答は返って来ないし所詮は子供の遊びだと跳ね除けられてしまう。
心が痛い。
周りのことを考えないように、食事を進める。何も耳に入ってこないように、何も見ないように。そうしていれば、今度はウタがこちらへ向かってくるのが見えた。
「ねぇ！A、アタシとシャンクスどっちがすき？」
何のつもりか、今度はシャンクスの事を出して僕に話しかけてきた。それでいて、自分が選ばれると思って誇らしげに胸を張って待っているのだから、少し意地悪でもしてやろうか。そう思ったけど誰もそんなの望んでいない、ここに居る人は誰も。
「ねぇー、Aまだぁー？」
待ちくたびれて、机に腕をのばし足をぶらぶらさせてるウタは本当に赤髪海賊団みたいで、段々シャンクスに似てきたななんて呑気に考える。
答えはもう決まってるんだ。
『シャンクス』
そして冒頭に戻る。
周りからも、白い目で見られている。何で僕が自分の意思で動いた時だけ、こういう扱いをさせるのだろうか。
皆だって、僕とウタの質問の時に僕を選ばなかったくせに。お互い様じゃないか。
ウタも、自分を選んで欲しかったなら直接「アタシのこと好き？」って聞けばよかったのに、わざわざシャンクスを出すのが悪いんじゃん。まぁ、直接聞かれても、普通って答えるけど。
椅子によりかかり首を預ける。
食堂のライトがやけに目にしみる。
『僕だって嫌いだよ…』
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
