泡が29つ ページ41
「それじゃ、お前ら。出航だ！」
その合図と共に船を出す。
今日が僕にとって皆と過ごす、最後の航海。
これが終わって、フーシャ村に着いて、離れる時次の目的地の1つ前にある島に降ろしてもらうことになっている。
その島は、噂では名医達が集まり自分の診療所で働く医者を求めに数多くの人が訪れると言われている。
もしその噂が本当なら、暫くの間は何方かにお世話になり下済みをして、夢を叶えようと思っている。
この事は、シャンクスは勿論 ベックマン達も知っている。
その事もあるのか、最近はフーシャ村を離れる日が近いと察しているのか、皆が悲しい顔をしているのをよく見かける。
『あーあ、みんなとの航海もそろそろ終わりか〜』
風と同じ向きに進み、波の音だけが僕の耳に届く。
手すりに体重をかけるようにして寄りかかれば、隣にシャンクスがやってくる。
「なんだなんだ、今更 降りたくない〜なんて言うのか？」
だははっと笑いながら此方を見てくるシャンクス。『そんなわけないでしょ』と少し冷たくあしらえば、「…そうか」なんて眉を下げて笑う。
僕とシャンクスの間に風が抜けていき、船の帆が大きく揺れるのを感じた。
『ねぇ、シャンクス。』
ずっと聞きたいことがあったんだけどさ。と短い沈黙を破り話し始める僕に、あぁ。といって耳を傾けるシャンクス。
『師匠とお別れする事になったあの日、シャンクスが僕の肩を抱き寄せてそこで僕は気を失ったでしょ…？』
「嗚呼、そんなこともあったな」
突然の問いかけに驚いたのか、目を大きくさせ頷くシャンクス。それに続くように再び困ったように笑う。
『あの後、師匠はどうなったの…。』
「…」
空気が一瞬で重くなったのを感じた。
本当は聞かなくても何となく分かっているんだ、あの後師匠がどんな風にお空に行ったのかってことくらい。
分かっているんだ、あの後シャンクスが僕のためを思ってなにかしてくれたってことくらい。
「あの人は、笑ってたさ。最後までお前から目を離さなかった。」
「最後の最後まで、綺麗で優しい。お前の大好きな師匠だったさ」
それを聞いて、僕は俯き服の袖をギュッと握る。
やっとのことで絞り出した声は、震えていて。
今すぐにでも泣き出してしまいそうな程だった。
『師匠が、師匠が笑っていたなら』
” よ か っ た ”
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
