淡が11つ ページ19
僕の着ている服を師匠の肩にかけて、霜焼けの手で体温を図る。師匠の首やおでこは、暫くの間外に晒されていた為 随分と体温が低下していて、血が流れている状態ではここままにすると危ない。
かと言って、手錠が解ける鍵を持っている訳でもない僕は、急いでリュックを下ろし中身を漁る。
何かないか。何か、暖かくなりそうなものはないか。
そう探していても、出てくるものは医薬品の瓶や本のみ。
近くに炎がないかと探すも、この場所だけは何故か何一つない。この場所は一体なんなんだ…そう心から思った時、師匠の声が微かにした。
「うぅ…」
『！ししょー！』
うっすらと開いた師匠の瞳は、間違いなく僕を写していて捉えて離さない。師匠の顔がどんどん血の気が引いていくのを見て酷い顔になっているのを見られたくなくて、無理やり笑ってみせるけど、今度は涙が溢れて止まらなくなる。
「…なき…む…しさん。か…わいい…アタ…シの息子…」
『は、話さないで。ししょー。今手当するからだから』
リュックから包帯をだし、止血をしてから応急処置をしていく。震える手を抑えながら、大丈夫だよ師匠。大丈夫。と声をかけていく。
しかし、それでも話す師匠に『しゃべっちゃだめだよ』と言ってみるけど、「お願いだよA。アタシの話を聞いてくれ」と言われてしまい、顔を合わせる。
きっと僕は今酷い顔をしているだろう。
「その…本。見つけ…たん…だね…。」
『そう。そうだよししょー。プレゼントうれしかったありがとう。後でたくさんお礼いいたいから、今は手当させて？お願い。』
師匠の腹部の止血をして、包帯を巻いていく。
「ﾊﾊｯ……アタシは医者なのに…今は息子に治療して貰っているのか…」
『僕だって、医者の弟子なのにいつも師匠に治療してもらってるよ。』
師匠の口は止まらない。
次に、肩に入った弾丸をピンセットで取っていき包帯を巻いていく。
「あのねぇ…A。アタシは…お前に幸せになって……欲しいんだ…自由で最強…なやつ……に」
『うん……うん……』
涙が溢れて止まらない、無理しないで話さなくていいよって言いたいのに、口が開かない。
次に、師匠の顔の血を拭いていきかすり傷の手当をしていく。
「アタシは…お前が大好きさ…A。例え、おまえがアタシを…忘れたって…アタシはお前が…大好きさ…」
『忘れるなんてしないよ！わすれないよ！ずっと一緒でしょ…？』
僕ができる一通りの治療が終わり、師匠を優しく抱きしめる。
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
