藤井の嫁、お断り。

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「俺の心配なんてしたことない、

薄情者のAちゃんはどこ行ってん笑」





嘘。前言撤回。


こんな奴、憎たらしくて大嫌い。


この人を思って、さっき泣いたのがバカみたい。






『……藤井なんて、営業でも経理でも総務でも
好きなとこに行っちゃえ。』




「うん、それでええわ。

同情するとか、お前らしない。」






髪をわしゃわしゃされる。



やめてよと言おうとすれば、









「1ヶ月だけ、付き合ってみようや。」








子供をあやすみたいに言われたから、

もう、本当にムカついて








『わかった。』









ムキになって、了承してしまった。









この時は、






"1ヶ月の辛抱だ"




"この1ヶ月が終われば、また元の生活に戻れる"









なんて、とても呑気に考えていたから。








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それからふたりで決めたこと。

(主に藤井が決めたことだけど。)







その1 できるだけ夫婦になろうと努力する


その2 二人きりの時はお互いのことを名前で呼び合う


その3 距離を近づけるために藤井の家で暮らす









期間は約1ヶ月。



でも正直、このルールを全て守ったとしても

1ヶ月で藤井に惚れることはないと思う。





それに、藤井だってきっと同じ思いだろう。







でもなぜか、彼は上機嫌。



今日は早退しよう、と勝手なことを言い出す始末。









そして、それを許した、これまたバカな私。







まぁ、やっと仕事もひと段落したわけだし、
1日くらいいいか、なんて



普段は絶対に考えないのに、

今日に限ってそう思ってしまった。








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