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やせ我慢は良くないよ?そう言って笑えば気まずそうに眉を寄せて振り向いたエース。
『パン、買ってきたけどもうこれしか残ってなかった。エースくんあんパンきらいでしょ?』
食べてないから大丈夫だよ、お箸とお弁当箱を渡せば受け取ってチラリとこちらを見る。
「‥‥朝は悪かった、」
『なんかあったっけ?いただきまーす!』
とぼけながらあんパンを頬張れば、その隣でガツガツと弁当をかき込むエース。
『お小遣い、もう使っちゃったの?』
「なんでわかんだよ‥まぁそうだけど」
『やっぱり!ルフィも使ったみたい』
「あいつもかよ、‥‥うめぇ、」
『でしょ?今度ご飯食べにおいでよ。ルフィよく来るから一緒に来たら?』
その言葉にエースが固まり、は?と乾いた声を出す。そんな話初耳だった。
病弱だった母ちゃんが死んで、ジジイに突然連れてこられた家。あいつのうちで一緒に暮らしだしてからはルフィの事は何でも知ってるつもりだった。
この学園の二年に転校が決まってた俺は、あの日ルフィと初めて登校する日だった。
その時、ルフィが叫んだ名前に何故だか胸がつまって‥遠くで振り返ったお前に一瞬で惚れちまった、あの衝撃は思い出したら今でも顔が熱くなる。
お前とルフィは近所の幼馴染みという濃い関係。そんなルフィには感謝してたが、とんだ誤算だったようだ。
「‥へぇ、あいつ黙ってやがったな」
『食べる分、減っちゃうからかな』
あはは、と宝石のような瞳を細め笑う姿。笑う度にゆらゆら揺れるエメラルドグリーンのポニーテールは、雲ひとつない空に良く映えた。
きっとそうじゃない。でも今はそれを見れただけでルフィの事なんてもうどうでもよくなる。
「なぁ、A」
『んー?』
あー、可笑しいと目に溜まった涙を指で切りながら振り向く。
「‥俺テスト全滅で窓側だったからお前らのクラスの体育見てたんだよ」
『あ、怪我?見られてたの恥ずかし‥』
眩しいほどの空に影が掛かる。それはエースとの距離が縮まったのだとすぐに気が付き、驚き見上げれば燃えるような漆黒の瞳と目が合った。
手当てをした場所に添えられた手。
湿布ごしなのに、その場所はチリチリと熱く火傷してしまいそうに感じた。
『っ、近くない?!恥ずかしい』
思わず仰け反ったがもうベンチにずれる余白はなかった。
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つばめ - 面白いです更新頑張って下さい ついでですが(ルフィ.ロー.キッド.エース)この4人と夢主とそれに見守りとしてナミ.マルコ.サツチ皆を絡めたは話見て見たいです特にキッドロールフィの3人でルフィに振り回されてら所とかどうでしょう? (2023年3月5日 22時) (レス) @page18 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - 春さん» 春さーんありがとう!!めちゃくちゃ遅い更新だけどしっかり書いてます!どうかこれからも宜しくお願いします〜! (2021年9月8日 7時) (レス) id: c712326300 (このIDを非表示/違反報告)
春 - あ"ーー更新してくれてありがとうございま!!超ー楽しみにしていたので嬉しいです! (2021年9月7日 23時) (レス) id: 76759c51ff (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - 春さん» わー初コメントだありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しい!学生バージョンなかなか表現が難しめで‥ぼちぼちですがしっかり書いてますので、もう少しお待ちくださーい(^^)d (2021年7月2日 8時) (レス) id: 168203fbed (このIDを非表示/違反報告)
春 - 小説読みました!いやー夢主ちゃんとエースがこれからどうなるか楽しみです!更新頑張ってください! (2021年7月1日 21時) (レス) id: 76759c51ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:嫁子ちゃん。 | 作者ホームページ:https://Twitter.com/new_yomeko
作成日時:2021年6月18日 15時