15晴れのち ページ15
ふぅ‥っと息を吐き、目の前の大きな人に上着を脱ぎ差し出す。
『あの‥すみません、私が寒がっていたから彼がこの上着を貸してくれたんです‥大切な軍の備品だとも知らずに‥軽々しく借りてしまい申し訳ありませんでした』
もう一度深く頭を下げれば、頭上から豪快な笑い声が降ってくる。まさかの出来事に驚き小さく体が跳ねた。
(めちゃくちゃ豪快‥びっくりした)
おじいちゃんなのに、少年みたいな人。
そんなふうに思いながら見上げれば、その人は大きな声でコビーー！と叫ぶ。
ビリビリする肌と鼓膜。
すると遠くに居た彼が、振り向きここからも見えるくらいに目を見開き驚愕しているのがわかった。
あっという間にこっちまで走って来て、大きな人に敬礼して何か話している。
「なんじゃお前粋な嘘付きやがって！！青雉にあんな格好させられた彼女が居たなら隠したくもなるわ！！今回は見逃してやろう！！」
ぶわっはっはっはー！と笑う人はガープさんと言うらしい。コビーが慌てながら声大きすぎますとか覇気出さないでくださいとか言ってる。面白い。
小さく笑っていると、ガープさんがやって来て上着を羽織らせてくれる。次に大きな手が両肩を掴み、くるりとコビーの方へ向ければ背中を押した。
「コビー、飯食ったらまた訓練だ。ふたりで食ってこい」
「『ありがとうございます！！』」
その言葉に二人の声は重なって、コビーの絵に書いたような敬礼を真似て、少し遅れて敬礼をする。その姿をガープは嬉しそうに見つめてコビーの肩を叩きながら去っていった。
「‥気を使わせたみたいで‥ごめん。こんくらい全然余裕だからさ。青雉さんから聞いたの？」
『うん‥、私こそ軍の大切なものって気が付かなくてごめんなさい』
チラリとコビーを見上げれば、ため息をついて上着のチャックに手をかける。ジーッと上までピッチリあげて、食堂は海兵だらけだから絶対脱いじゃだめだよ！と眉を寄せて忠告する彼に何度も頷いた。
ガヤガヤと賑やかな食堂に着けば一瞬で集まる視線。海兵達に舐めるように見られてるなんて全く気付いてない本人に、ここに連れて来たのは大失敗だったとヘコむ。
『海軍カレー、食べてみたかったの！』
「昔からカレー好きだったもんなぁ」
いひひ〜、と子供のように嬉しそうに笑うAにドキッとする。目の前でぱくぱくと美味しそうに食べる彼女を見て、先程の自分勝手な考えはもうどこかへ飛んで行ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
嫁子ちゃん。(プロフ) - 風早紫音さん» 最高だなんてー！勿体ないお言葉、ありがとうございます頑張れるぅぅ😭必ず続編書きますので、どうかお待ちください❤️ (2022年10月16日 11時) (
レス) id: 9b6f360aec (このIDを非表示/違反報告)
風早紫音(プロフ) - 最高としか言えない…！！コビー推しだからほんっと嬉しい！これからも楽しみにしてます！ (2022年10月16日 9時) (レス) @page50 id: 3b05bc2eb8 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - ユヅさん» ほんっっとに嬉しすぎるお言葉ありがとうございます‥！！😭コビーくんきっと大人気になるはず‥！私もコビーくん大好きです🥰もちろん新しい作品は作りますよ😉 (2022年8月21日 4時) (レス) @page50 id: 4d9705b736 (このIDを非表示/違反報告)
ユヅ(プロフ) - この小説を機にコビー様のファンになりました！神作品すぎます泣コビー君の作品少なくてがっかりしてたけどこの作品見てハァハ(感動して癒されました！！主さんはコビー君推しですか？😆コビー君の作品は新しく作る予定はございますか！？とても好きです応援してます (2022年8月21日 0時) (レス) @page48 id: 9898b37776 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - にーにさん» ほんとーーー？！！嬉しいありがとう❤️続編頑張るからね〜〜！！期待してて！👌 (2022年8月20日 18時) (レス) id: 4d9705b736 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：嫁子ちゃん。 | 作者ホームページ：https://Twitter.com/yomeko_zzz
作成日時：2021年5月20日 0時
