はじまり ページ1
あれは多分１７か８の時。
くだらねェ集まりの後、
ツレと街を歩いていた時に偶然お前を見つけた。
「‥‥よォ、久しぶり」
『わ、‥あ！キッドくん！キラー！』
そう言ってびっくりした顔をしたお前と、
その後に呼んだ名前にイラついて相棒を睨む。
「幼なじみの名残だ」
そう言ったキラーの一歩前に踏み出した俺は、後悔する。
こっちを見上げたその顔。
ずっと手に入れたくて
仕方なかったあの頃の感情が、
忘れようとしても
消えなかった日々を鮮明に呼び起こす。
『またおっきくなったね
キッドくん！まだバスケしてるの？』
「いつの話だよバカ野郎。
もう俺達はガキじゃねェ」
その日焼けを知らないような
真っ白の額を弾けば、
痛いと大袈裟にふらつくお前。
さっきから纏わり付く
茹だるような暑さを吹き飛ばした、
懐かしい笑い声。
都会で聞こえぬはずの、海の波と。
草木がざわめく音がした気がした。
１０年前の夏。
俺の止まった時間はまた
この瞬間から動き出しす。
『そんな、私なんて』
「うるせェ‥ガキの頃からずっと
忘れられねェんだ。
黙って俺の女になれ」
街で会った日から必死で
口説き落として、
やっと手に入れた宝物。
それからの日々は穏やかで、
全てが新鮮で、
楽しくて仕方なかった。
夜中にこっそり家から
連れ出しては、
いろんな場所に連れて行った。
悪いツレにも会わせた。
(ゆっくり、‥ほら手)
(うん、)
その日の夜も、オイルまみれの
つなぎのままお前の部屋の
窓の下で手を伸ばしていた。
いつも通りの、二人だけの合図。
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嫁子ちゃん。(プロフ) - 祈杏さん» えーー！嬉しい‥ありがとうございます😭頑張れます！キッドさいこうですよね❤️ (2021年12月23日 8時) (
レス) id: eb6394fe4d (このIDを非表示/違反報告)
祈杏(プロフ) - キッドの小説ほんと少なくて…嬉しいです！嫁子ちゃん｡さんの小説の書き方ほんと上手で読みやすくてもうファンです！もう好きです。推しです。 (2021年12月22日 23時) (レス) @page4 id: 3d4bd36122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：嫁子ちゃん。 | 作成日時：2021年12月22日 1時
