4 ページ4
ああ、殴られるーーー。
怪我したらお客はんらにしっかり奉仕が出来ひんなるなぁ、色々な事が頭を巡る。
『‥‥痛い事は全部姐さんに任しとき』
ぽつりと呟けば、目の前の男が振りかぶる武器が空気を切る音が鮮明に聞こえる。あれで殴られれば頭が吹き飛ぶんとちゃうやろか、なんてぼんやりと考えながら、直に来る衝撃に備え目を閉じた。
こんなにも、余裕な理由。
私は、あの日から痛みを感じない。
この身を差し出せば、
ずっとそう思っていた、はずだった。
私の神様に会うまでは‥。
体が吹き飛ぶ衝撃を待ったつもりだったのに、優しくふわりと体が何かに包まれた。
おかしい、そう思いゆっくり目を開けたと同時＿＿＿。
『‥‥、なんや‥えらいぶっそうな顔した赤い神様やな』
「馬鹿野郎。俺ァ神じゃねェ」
吊り上がった瞳とすっと鼻筋の通った何とも男らしい人と目が合い離れない。そして、自分の緋色とはまた違った、溌剌と燃えるような赤がこの街の寂しい風に揺れる。
まさに間一髪。
この赤い髪の男、ユースタス・キャプテン・キッド率いるキッド海賊団の幹部が一瞬で大男を薙ぎ倒し禿達を無傷で助け出してくれた。
「おい。怪我はねェか」
『おそろいやなぁ‥お兄はん』
その問い掛けすら耳に入らぬ程、目が離せない赤のそれに手を伸ばす。するとキッドの目は倍の大きさに開き、そのまんまるな瞳に見えるのは頬を染めた自分。
「お前、着物がひでェ事になってるぞ」
キッドは頬を掻きながら眉間に皺を寄せてぶっきらぼうに胸元の合わせをぎゅっときつく絞め直す。
『お兄はん慣れてはるなぁ』
「うるせェ‥まぁいい暇潰しが見つかった。また顔出すから待ってろ」
『暇潰して‥堪忍しておくれやす。でもあたしはもう‥何年もお客さんで埋まってるから、きっと』
もう会えへんかもしれまへん、そんなふうに答えようとした時だった。
「「A姐さん〜〜！！」」
「A！あんたって子は！ほんまに！」
目の前に禿を抱いた女将さんと、男性の仲間だろうか、仮面を被った人が両腕に禿を抱いて目の前にやって来た。
「キッド。もうこの話は付いた、とりあえず今日は先に急ごう」
「あぁ」
おおきに、そう頭を深く下げればぽんぽんと優しく頭を撫でられる。次に顔を上げる頃にはもう自分たち以外は誰も居なくなっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
嫁子ちゃん。(プロフ) - はなまるさん» 素敵だよね‥きゅんだよほんと！綺麗な文だなんて‥😆嬉しい〜😳 (2022年1月8日 9時) (
レス) id: eb6394fe4d (このIDを非表示/違反報告)
はなまる(プロフ) - イラスト素敵すぎんか…！？すっごい！！！嫁子ちゃんの綺麗な文とも合わさって最高すぎる〜💖 (2022年1月7日 23時) (レス) @page13 id: 14d735e2d0 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - リエさん» リエちゃーーん、ありがとう😭楽しみにしててね。頑張って書きまくります🙌 (2021年11月29日 7時) (レス) id: 14ef6fcd79 (このIDを非表示/違反報告)
リエ - 嫁子様の新作待ってました！！うぉぉぉぉ、、、！！！嫁子様が作り出すストーリーが最高過ぎます、、、。楽しみに待ってます！ (2021年11月28日 22時) (レス) id: 62560190e1 (このIDを非表示/違反報告)
嫁子ちゃん。(プロフ) - はなまるさん» 楽しみにしててーーー！まっちん絶対好きだと思う🔥タイプだなんて‥‥うひひ (2021年11月28日 20時) (レス) id: 14ef6fcd79 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：嫁子ちゃん。 | 作者ホームページ：https://Twitter.com/yomeko_zzz
作成日時：2021年11月28日 15時
