63話.はしやんside ページ7
歌詞太郎にはあの夢が嘘だと思えなかったのだろうか。でも一番霊感がある歌詞太郎に言われたら本当だと思ってしまう。
そして「今日は危ない」と言ったので今日は病室に泊まることになった。
天月は少し怯えているのか「怖い怖い」と小さく言っている。俺は天月を抱き締め、背中をとんとん叩いているといつのまにか寝てしまったのか、規則正しい寝息が聞こえる。
ああ、よかった。そう思って前髪をかきあげる。
すると、バン、という音と歌詞太郎の声。
歌「はしやん君!天月君を!」
『分かった!天ちゅ、天ちゅ!』
天月を揺さぶると「どうしたの..?」と目をこする。
『お前の夢は夢じゃない、現実だったんだ!』
天「ゆ、め..じゃ無いって..どういう..!?」
天月はまだ混乱しているのか、動揺を隠せない。
俺は見ていないけど、歌詞太郎が話しているであろう、その変な“黒いやつ”はどういう奴なのか。
なぜ、天月を追うのだろうか。そして守ってくれたという“白いやつ”はいつ現れるのか。
疑問が次々と浮かぶ中、ゴオオ、と向かい風が髪を揺らす。
天月は「ひっ」と小さく声をもらすと、小さく震え出しはじめた。そんな彼を俺は抱き締め「大丈夫だ、大丈夫だ」と小さく囁く。
ア「あれ、何なの!?」
『俺も、わからない..!』
コニーは歌詞太郎の隣へ行く。
俺は、その“黒いやつ”をちらっとみる。
...あれは、何なのだろうか。
黒く、ぽっかり穴が空いたようなもの。
風は徐々に冷たく、氷のようになっていく。
うめき声と、歌詞太郎の声が聞こえた。歌詞太郎は腕を押さえ、冷や汗が流れていた。
歌「はしやん!!天月君を!!!」
そう言った瞬間、目の前が暗くなった。その穴からは無数の手が出ている。そして声が聞こえる。
天月と俺の腕を引っ張る細く、青白い腕。
天「は、はしや..ん!!!や、やだ..!」
『....っ!?天月!!』
俺は腕を振りほどき、天月を抱き締める。
終わりか。
そう思った瞬間、眩しい光とともに、白い..何かが現れ、一瞬にしてどちらも消えたのだ。
『...助けて、くれた..?』
ア「..っ、か、歌詞太郎さん、大丈夫..?」
歌「大丈夫..こんなの、かすり傷..」
コ「どこがだよ!止血しなきゃ..」
コニーの言う通り、歌詞太郎の右腕からは今もどくどくと血が流れている。un:cがタオルを取り、歌詞太郎の腕にきつく巻いていた。
天月は震えたまま、そして肩で息をしていた。
『..天ちゅ』
天「はし...はしやん..」
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真歩 - 涙が止まりません。 本当によかったです。 次の作品も頑張ってください。 応援してます。 (2015年10月8日 22時) (レス) id: 01a2c26e2b (このIDを非表示/違反報告)
☆凛々☆(プロフ) - もう泣きまくりです・・・。本当に良かったです・・・! (2015年8月6日 19時) (レス) id: 1301447d91 (このIDを非表示/違反報告)
みーたさそ - 涙がっ、涙が止まりません…。私達に感動をありがとうございます!七星さん! (2015年4月8日 15時) (レス) id: 2f5b603178 (このIDを非表示/違反報告)
カルガモちゃん(プロフ) - もうすっごく泣きました!!涙止まらないですww終わり方がすごくよかったです! (2015年3月25日 20時) (レス) id: 7f31314282 (このIDを非表示/違反報告)
七星(プロフ) - 明久(仮)@保留荘在住さん» ありがとうございます!そう言って頂けてすごく嬉しいです…! (2015年2月28日 11時) (レス) id: e5d0af4b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七星 | 作成日時:2014年1月20日 16時