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弐拾 ページ22

「ここから南方に鬼がいて、今丁の子が二人で苦闘中、と……」

Aはブツブツと呟きながら目的地に走っていた。

先程、鎹鴉からもらった情報を元にAは夜の街を駆けていた。
街中で襲われる人々。跡形がないため血鬼術の仕様が疑われる。

「血鬼術を使う鬼は厄介ですね……丁二人で苦戦とは、どんな血鬼術なんでしょう」

目的地に着くと隊員が一人負傷、もう一人がギリギリで戦っていた。

「大丈夫ですか」

「鉄岡さん!」

「あなたは負傷した隊員を。怪我は浅い様ですからすぐに治ります」

隊員が油断したところを鬼が襲ってきた。口は血で濡れているところから今夜も人を喰ったようだ。

「この子達には手出しさせません」

Aの刀が鬼の爪を弾く。

「この手ぬぐいで傷口を抑えて。出血を抑えてください」

「わかりました!」

隊員はAから手ぬぐいを受け取ると負傷している場所に当てがった。血が手ぬぐいを侵食していく。

「さ、私は鬼退治ですね」

Aの刀は藤色に染まっている。
スゥ、と息を吸うと少しづつ刀が青に染まっていく。

鬼の顔部分が大きくなる。この鬼の血鬼術は身体の部位を大きくすることらしい。

「なるほど、これで人々を丸呑み、ですか」

鬼の口を避け、目を切りつける。横に線が入るがみるみるうちに治っていく。
しかし鬼は絶叫を上げ顔を小さくした。

「て、鉄岡さん、今、何を」

「ふふ、何も使ってないですよ」

いきなり鬼が悶え出した。苦しそうにし、泡を吹いている。
上弦の鬼や下弦の鬼なら効果はないが、大体の鬼なら効果の出るAの力。

「私の匂いに、少々当てられたようです」

Aから藤の甘く、爽やかな匂いが漂う。
人間にとってはいい匂いだが、藤が苦手な鬼にとっては凶器となりかねる。

「ほら、さっきまでの威勢はどうしたんですか?」

Aが鬼に近づいても悶え続けている。
頸が切られても尚、泡を吹き、匂いに悶えていた。

「隊員さん、止血お手伝いします」

Aは鬼を倒し終えるとすぐに隊員の手当てに向かった。

「……あの、鉄岡さん、どうしてそんなに強いんですか……?」

「え……そうですね……んー……なんででしょうね?」

考えてもよくわからない。
ただ自分は、隙を見せた鬼を切っているだけ。

「俺も、鉄岡さんみたいに強くなりたいです」

「……なれますよ、きっと」

Aが微笑むと隊員の顔が赤らむ。
こうして、Aは無意識に好かれていくのだ。

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五十土(プロフ) - NANAさん» ありがとうございます!ドキドキできるような感じを目指しているのでとても嬉しいです^ ^頑張ります! (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - 牙さん» 鋼鐵塚さん可愛いですよねわかります!癒されてくれてありがとうございます(?) (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - コハクさん» ありがとうございます!更新しましたのでまたお楽しみください! (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
NANA - こんなに素敵な作品に出会ったのが久しぶりすぎて...ドキドキ止まりません...更新頑張ってください!! (2019年11月20日 16時) (レス) id: 714d999e70 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最近鋼鐵塚さんが可愛く見えて仕方ないので、この小説を読んでると癒されます!更新待ってます!! (2019年11月16日 1時) (レス) id: aea81487e4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:五十土 | 作成日時:2019年5月2日 22時

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