拾漆 ページ19
Aは宿に用意された部屋に入ると、茶を啜りながら今日のことを思い出していた。
なんだか頭がぽわぽわしている。
「……楽しかった、な」
鋼鐵塚の後を付きながら里を回った。
時にはたわいない話をしながら。
ただ案内してもらっただけ。
それだけなのに、Aは逢引をした気分になっていた。
「また、会えるといいな」
また一口、茶を啜る。
鋼鐵塚と話していると楽しかった。
刀の話から鬼殺隊の話、鋼鐵塚が担当した鬼殺隊員の刀……
それから、A自身のことも。
実家が医者なこと、初めて温泉に入ったこと、鬼のこと。
彼の反応や喋っている姿が鮮明に思い出される。
「……」
また、ぽわぽわとしてくる。頭の中が蕩けそうだ。
ふと、浴衣から見えた自分の体に刻まれた傷に目に入った。
今までは見るたびに自分は未熟だ、と言い聞かされているような気分になった。
その度に胸がきゅう、と締め付けられ苦しくなった。時には泣いてしまうこともあった。
でも、鋼鐵塚は
『……別に、いいんじゃないか。
Aさんが頑張った証拠だ。恥ずかしくなんてない』
そう、言ってくれた。
これは自分が頑張った証拠として受け取っていいのか。
『鬼と戦ってきたんだろ？傷の分だけ多くの鬼と戦って、人を守った。
なら恥ずかしくなんてない。堂々としてていい』
堂々としていいんだろうか、恥ずかしくなんて、本当にないんだろうか。
Aの頭で言葉がぐるぐると回っていた。
それと同時に、顔に熱が集まってくる。
「……変。……こんなの……」
人に言われてこのような感情にあまりなったことのないAは困り果てていた。
この状態にした鋼鐵塚にまた会いたいと、心の底で思った。
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五十土(プロフ) - NANAさん» ありがとうございます！ドキドキできるような感じを目指しているのでとても嬉しいです^ ^頑張ります！ (2019年12月14日 13時) (
レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - 牙さん» 鋼鐵塚さん可愛いですよねわかります！癒されてくれてありがとうございます（？） (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - コハクさん» ありがとうございます！更新しましたのでまたお楽しみください！ (2019年12月14日 13時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
NANA - こんなに素敵な作品に出会ったのが久しぶりすぎて...ドキドキ止まりません...更新頑張ってください！！ (2019年11月20日 16時) (レス) id: 714d999e70 (このIDを非表示/違反報告)
牙(プロフ) - 最近鋼鐵塚さんが可愛く見えて仕方ないので、この小説を読んでると癒されます！更新待ってます！！ (2019年11月16日 1時) (レス) id: aea81487e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：五十土 | 作成日時：2019年5月2日 22時
